大阪市立美術館「愉快奇怪 神獣図鑑」展

大阪市立美術館のコレクション展「愉快奇怪 神獣図鑑」を訪ねた。入り口で迎えてくれるのは辟邪(へきじゃ:邪悪をさけるといわれる神獣)形と鴟鴞(しきょう:ミミズク)形の2つの青銅の水滴だ。 辟邪形水滴のキャプションには「断じてカエルではない」と…

天目ー中国黒釉の美 オンライン講座

東洋陶磁美術館の小林仁先生によるオンライン講座を受講。天目の世界を満喫した。 (NHK文化センター 梅田教室 オンライン講座「天目の美―特別展「天目―中国黒釉の美」関連講座」) 美術館の講堂で開催される講座は、落ち着いた雰囲気で聴講出来るので、いつ…

天目ー中国黒釉の美 7月-2

特集展「現代の天目―伝統と創造」小さな展示室に何だかすごい作品ばかりひしめいている。 近代、現代の作家の手による天目茶碗の数々。それぞれの作家ごと独自の天目の世界が広がっている。 見立て漆器の作品では釉薬のしたたりまで表現しているものがある。…

天目ー中国黒釉の美 7月

あきらめていた小林仁先生の講座がオンラインで開催されるって。やったー!でもZOOMの会議に参加したことってなかったな。ちょっと心配。 さて、展覧会場のつづき 白覆輪天目というのは、最初見たときちょっと奇妙なデザインに思われた。なんで口縁が白いの…

天目ー中国黒釉の美 6月-5

いろいろな手法を使って表現された特別に愛らしい作品を記録しておこう。 いずれの作品も手のひらの中で見とれていたい。「賞玩する」っていう感じかな。 黒釉 杯 北宋~金時代 12世紀 以前「宋磁の美」展で鑑賞した時は、すっかり全面漆黒だと思っていた。…

天目ー中国黒釉の美 6月-4

このたびの「天目」展では個人蔵の作品を何点も鑑賞させてもらえる。この展覧会が終わったら、もう二度とお会いすることができないと思うから目を凝らして何度も見つめる。 お茶の器って、居住まいを正して見なければいけないような、敬遠する気持ちがあった…

天目ー中国黒釉の美 6月-3

東洋陶磁美術館「天目~中国黒釉の美」の公式図録を購入した。 私はたくさんの美術館を訪ねたこともないし、撮影技術のこともさっぱりわからないけれど、これはもはや「展覧会図録」の範ちゅうを大きく超えているのではないかと感じる。 すごいもの見ちゃっ…

天目ー中国黒釉の美 6月-2

唐の時代の作品が2点あった。 黒釉白斑 水注 唐時代8~9世紀 黒釉白斑 壺 唐時代8~9世紀 キャプションの中に「花瓷」ということばがある。これは二玄社の本のなかで見かけたような、そうでないような…本を読んでも、うろっとしか覚えていないからなぁ …

天目ー中国黒釉の美

いくつかの美術館が再開された。東洋陶磁美術館「天目―中国黒釉の美」を訪ねる。一瞬にして心奪われる作品に出会った。 いつもは元代以降の中国陶磁を展示しているI室に国宝の油滴天目が燦然と輝いている。どきどきして、落ち着いて見られないくらいにゴー…

中国陶磁入門(できるかな)

2月から二玄社刊の中国名窯名瓷シリーズを読み始めた。耀州窯、定窯、鈞窯とすすみ、磁州窯の半ばだ。 相変わらず「読む(理解し、知識として身に着ける)」というものでなく、「眺めている」といったほうがよい読書だ。 それでも本人はとても楽しんでいる…

背伸びして読書する

世界中に広まっている感染病日々自分の行動に注意を払い、一日も早い終息を祈る。 大阪市立美術館のコレクション展、臨時休館になる前に一度見に行くことができた。もう一度来ようと思ったけれど、かなわぬこととなった。 「中原の古法 ― 北朝石刻書法」:北…

「顔氏家訓」を読んで

「魏晋南北朝」(川勝義雄著 講談社学術文庫 何度読んでも頭に入らないのだけれど何度読んでも面白い)を読むうちに何度か「顔之推 がんしすい」という人の言葉が引用されていた。どんな人だったのだろう、とても気になった。 6世紀中国江陵に生まれた人。…

東洋陶磁美術館~アビーコレクション、天目のきらめき

東洋陶磁美術館では4月のはじめまで、「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション-メトロポリタン美術館所蔵」と「受贈記念 木村盛康・天目のきらめき」の2つの展覧会および平常展が同時に見られる。 入館すると生き物のようにのびてゆく大きな…

「明器-古代中国 墳墓のやきもの」ギャラリートーク

大阪市立美術館コレクション展「明器-古代中国 墳墓のやきもの」のギャラリートークを受講した。展示の概要説明に加えて、質問も受けていただいた。とてもお値打ちの入館料300円 中国古代の墓室から見出された美。怖いようでもあるが一度実際の墓室に足を踏…

明器-古代中国 墳墓のやきもの

今月は大阪市立美術館のコレクション展「明器-古代中国 墳墓のやきもの」を拝見したので、記録しておこう。 第1室:新石器時代の彩陶、青銅器、青銅器の形をした緑釉、褐釉、灰釉の陶器、画像石といろいろある。 特に漢時代のものが多かった。そのころの貴…

特集展「受贈記念 木村盛康・天目のきらめき」

年の終わりに美しい茶碗を見せていただいた。 東洋陶磁美術館ではしなやかに空間に広がっていくような竹工芸の名品展が開かれている。 その会場の一室に、宇宙を閉じ込めたようなやきものが展示されている。釉薬の魔法だろうか。 特集展「受贈記念 木村盛康…

OSAKA MUSEUMS 学芸員 TALK&THINK~歴史博物館にて

大阪市内博物館の学芸員の方たちが企画したイベント「OSAKA MUSEUMS学芸員TALK&THINK」で「仏像 中国・日本」展を企画した方の担当回があった。 「「仏像 中国・日本」展のできるまで-美術館で仏像を観ること」(大阪市立美術館 齋藤龍一学芸員) 展覧会自…

「仏像 中国・日本」講演会

9日の土曜日に大阪市立美術館で、「仏像 中国・日本」展の講演会が開かれ、聴講してきた。(講師:齋藤龍一大阪市立美術館主任学芸員) 講演会室はとても時代がかった天井の高いお部屋だ。冷暖房費がかかりそう…余計なことを思いながら、講演が始まるのを待…

「OSAKA MUSEUMS 学芸員 TALK&THINK」を受講する

東洋陶磁美術館でやきものについての講演会を拝聴するのは、たとえ生活の中で何が起こっていても大事にしたい至福の時間。 今日は大阪市内の学芸員さんたちがリレーで市内の美術館、博物館で講座を開くというちょっと変わった趣向のイベント「OSAKA MUSEUMS…

銀製男子立像~「仏像 中国・日本」

銀製男子立像(戦国時代 東京永青文庫蔵)が出展されると知って、「仏像 中国・日本」展を見に大阪市立美術館を訪ねた。 文庫本の図版を目にして、強く印象に残っていたあの胡人像の実物ではないかしら。 それ(彼)には会場に入ってすぐ、最初に会うことが…

玉器を見に行く~和泉市久保惣記念美術館

奈良国立博物館で青銅器を鑑賞したのち、「古代中国」(貝塚茂樹・伊藤道治著 講談社学術文庫)を読んだ。 この本を読むのは2回目だ。 学術文庫の内容は私にとっては、とても難しいのだけれど、この本では漢字文明の始まりの頃の歴史についてわくわくしなが…

奈良国立博物館青銅器館

青銅器を見に奈良国立博物館の青銅器館(坂本コレクション)を訪ねた。 あまり時間がなかったので仏様のお姿を横目に「なら仏像館」を通り抜けて青銅器館へ直行する(もったいない)。 正面で、卣(ゆう 鳳凰文卣 商末周初期 B.C.11~B.C.10世紀)という青銅…

フィンランド陶芸展

東洋陶磁美術館で開催されているフィンランド陶芸展を再び訪れた。 前回は越窯の神亭壺に夢中だったので記録ができていなかった。 好きだなと思った作品の印象をいくつか記しておこう。 最初の展示室で出会った動物をかたどった作品群はとてもキュートだ。 …

中之島香雪美術館 記念講演会

台風の中、中之島香雪美術館へ行った。 「茶席を彩る中国のやきもの」 記念講演会 「青磁と天目~中国陶磁史研究の最前線から」出光美術館主任学芸員 徳留大輔氏 を拝聴するために。 最も学びたいことだから、悪天候のために中止になってしまわないかと、ひ…

越窯の神亭壺

フィンランド陶芸展が始まったので、東洋陶磁美術館に出かけた。 展示空間にはテキスタイルの作品もあり、デザインの美しさ、面白さに満ちていて、うきうきと鑑賞できた。 日常生活にとりこめるアートという感じがして親しみやすい。 10月までに、また訪れ…

中之島香雪美術館「中国のやきもの」展

中之島香雪美術館で開催されている「茶席を彩る中国のやきもの」展を見に行った。 中国の宋、元、明、清時代のやきものが日本に伝わってお茶席でどんなふうに使われ、大事に守られ、愛されていたのか、茶道のことはちっともわからない私にも、伝わってくる展…

館蔵品図録(東洋陶磁美術館コレクション選)について

先日購入した東洋陶磁美術館の館蔵品図録(4000円)について記録しておきたい。 ずっしりと重い。本の中に小さな美術館がある。 写真の色彩がすばらしくて、真に実物を見ているようだ。 背景の調子を明るい灰色から濃い灰色、黒に至るまで作品に合わせて細か…

文房四宝展~硯の裏

中之島のバラはもう散り始めていた。 「文房四宝」展を再訪する。 前回見たときに、硯のかたちが豊かで美しいと思った。 天然の石の形や柄を活かしたもの、彫りで飾られたもの、文字を刻んだもの。 存在感、風格、作った人、使った人の思い。 硯の裏面にも魅…

文房四宝展~玉に出会う

年度末の業務と花粉症からあともう少しで抜け出せそうだ。 花粉症の薬の副作用なのか、とにかくこの季節は気鬱になる。もともとの怠け性が花粉症のせいでさらにひどくなる。仕事に出かけるだけの毎日。桜の季節は恐ろしい。 だが、新しい展覧会が始まった。…

碗のかたち

先週、また東洋陶磁美術館企画展「オブジェクト・ポートレイト」の館内をふらふらと歩いていたら、定窯の作品ばかりが並べられているケースに、同じく定窯で褐色の非常に薄づくりの碗が展示されていた。 本当に薄い。よくも今まで伝わってきたものだ。しかも…