いくつかの美術館が再開された。
東洋陶磁美術館「天目―中国黒釉の美」を訪ねる。
一瞬にして心奪われる作品に出会った。
いつもは元代以降の中国陶磁を展示しているI室に国宝の油滴天目が燦然と輝いている。どきどきして、落ち着いて見られないくらいにゴージャスでまばゆい。
その素晴らしい国宝のとなりに、これもまた何とも言えない輝きを放つ禾目(のぎめ)天目があった。
私は一目で虜になり、作品の前から離れられなかった。
なにやらうめき声をだしていたかもしれない。
禾目天目 建窯 南宋時代 12-13世紀
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完璧な姿、きらめきながらもぎらつかない、金属のような光沢…黒地に浮かぶ神秘の文様 東洋の宝物
器の面影を抱いて家に帰る。
「個人蔵」とあった。見せていただき深く感謝
規模は小さいけれど、見どころいっぱいの展覧会だ。特集展「現代の天目―伝統と創造」も開かれている。
私にとっては随分勉強ができそうだ。
この間読んだ二玄社の「磁州窯瓷」もよい教科書になりそう。
11月まで何度か通って、禾目天目を見て有頂天になりながら、ゆっくりと美しい黒や褐色の器を鑑賞させてもらおう。「年間パスポート」とても助かります。
この展覧会の図録はもう少し経ったら購入できるようだ。こちらも期待していよう。
常設展の中国陶磁では椅子に座りながら、大好きな作品を独り占めして眺めることができた。
とてもとても贅沢で静かな時間を楽しんだ。
何か月ぶりかな。心に栄養がいっぱい充填された。
これで免疫力はグンと向上したことだろう。