中国陶磁入門(できるかな)

2月から二玄社刊の中国名窯名瓷シリーズを読み始めた。
耀州窯、定窯、鈞窯とすすみ、磁州窯の半ばだ。

相変わらず「読む(理解し、知識として身に着ける)」というものでなく、「眺めている」といったほうがよい読書だ。


それでも本人はとても楽しんでいる。
窯の歴史や産地を知り、美しいカラー図版に心奪われ、実物はどんなに素晴らしいだろうと想像して、ボーっとしている。

 

この状況の中で、本を取り寄せ連絡してくださったくまざわ書店さんに感謝。

 

それぞれの窯の歴史の長さがすごい。
宋の時代にすばらしい陶磁器がたくさん産生され、「宋磁」というくくりで単純に認識していたが、そうではなかった。

 

いずれの産地でも数百年以上も発展し続けていた。唐代から北宋南宋・金時代を経て、元、明代までも続いている産地もある。
そして、産地同士で互いに切磋琢磨して、技術やデザインをまねるなどもし、無数の試行錯誤を繰り返して、長い年月にわたって多種多様な製品を生み出しているんだ。


「宋磁」というのは、そういった膨大に積み重ねられた努力、技術の精華なんだねぇ。

 

窯、産地の間でお互いに影響を受けながらも、産地ごとの個性ある美しさがくっきりと際立っていると感じる。


優雅で柔らかな白、端正な器形、心落ち着くオリーブグリーン、シャープな刻花文様、ふわっとした感じがする肌の不思議、おしゃれでモダンな図柄……魅力は尽きない

 

 

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それぞれの美がどんなふうに追求され、創出されたのかな。

 

他所の窯・産地だけでなくほかの工芸分野の特徴を吸収することにも巧みであったという。

定窯の文様に「刻糸(こくし)」というつづれ織りの技術が大きな影響を与えたということが紹介されていて印象深い。


このシリーズが刊行されてから時間がたっているので、さらに多くのご研究が発表されていることだろう。
いよいよ中国陶磁に入門という気がする。

 

あぁまたすばらしい作品に会いたいねぇ。