イビョンチャン博士記念の講演会が3月5日、オンラインで開催された(第14回 李秉昌博士記念公開講座「高麗陶磁と磁州窯系陶磁」)。
拝聴しながら、今まで出会った磁州窯系の作品を懐かしい人を思うように思い浮かべていた。
緑釉黒花牡丹文瓶(重要文化財) 金時代 12世紀 器のかたちがとても優雅
黒釉刻花牡丹文梅瓶 北宋~金時代 12世紀 磁州窯といえばこの作品を思う
東洋陶磁美術館のクイーンのような牡丹文の瓶と梅瓶はもちろん、おしゃれな堆線の水注や、やわらかな色味の白釉の盆など、いつでも見ていたいと思う。
白釉劃花牡丹文面盆 北宋時代 11~12世紀 クリームシチューのような器面 使ってみたい
特に、「天目~中国黒釉の美」(2020年東洋陶磁美術館)では、多様な技法によって生み出される表面装飾を知って、磁州窯の魅力を認識した。
左 黒釉堆線文水注 金時代 12~13世紀
中 黒釉堆線文壺 金時代 12~13世紀
右 白地黒掻落飛白文壺 金時代 12~13世紀
2017年に開催されたイセコレクション展「世界を魅了した中国陶磁」でも、心に残る作品を拝見していた。
大阪市立美術館のコレクション展(2021年)「磁州窯の陶枕」も面白かった。
左 白地鉄絵牡丹文瓶 金時代 12~13世紀
右 黒釉刻花牡丹唐草文梅瓶 北宋時代 11~12世紀
磁州窯系の窯では庶民が使うものを生産していたという。このようなうつわを愛した当時の人々のセンスって抜群、洗練されているなぁ。
白釉水注 北宋時代 11~12世紀
五代から北宋、金時代の中国のやきものについてのご研究を聞かせていただくとき、推理小説の読者になったような気持ちになる。
一体どんな人々の暮らしや活動があったのだろう。広大な国土であるのに、産地と産地の間に、技術やデザインのつながりがあるということに驚く。
講演会のお話に触発されて、二玄社の「磁州窯瓷」を取り出して、久しぶりに読み返した。さまざまな技法に感銘を受け、カラー図版を眺めてほっとため息。
また実物を見に行きたい。
相変わらずというか、私では当然ながら、一回お聞きしただけでは内容をつかむというにはほど遠い。
YouTubeでアーカイブ配信があるというから申し込まなくてはいけないな。
白釉劃花風花雪月字梅瓶 金時代 12世紀