大阪市立美術館コレクション展「磁州窯の陶枕」

大阪市立美術館へ「磁州窯の陶枕」というテーマのコレクション展を見に行った。

 

f:id:ivoryw:20210111174614j:plain

 

大きいな。如意頭形の陶枕を前にして思った。(白地掻落牡丹文如意頭形枕 北宋時代11-12世紀)これは実際に頭をおいて使っていたものだそうだ。
水害で土砂の中に埋没し、当時のままの状態で発掘された鉅鹿(きょろく)という遺跡から出土した(伝)ものらしい。
頭をちょっと起こすように、少し傾斜がついている。どんな髪型の人がどんな具合に使っていたのだろうか。


陶製の古い枕を見てきたと母に話すと、実家で使っていたよという返事が返ってきた。してみると、昭和初期にはかなり普通に、日本でも使用されていたのかな。
なんとなく古代とつながりを感じる。

 

白地魚子(ななこ)地牡丹文豆形枕(北宋時代 11世紀 1点は個人蔵)

同じ名前、ほぼ同じデザインのものが2点出展されていた。
図柄の地模様として小さな丸が一種の象嵌で表現されている。
魚子地という金工の手法を美しく真似していた例は、昨年の「天平礼賛」展の唐時代三彩碗で見せていただいた。
この磁州窯の枕では、明るい褐色の魚子地が主文様の牡丹の花や葉を知的な雰囲気のなかに浮き上がらせている。
こんなデザイン性豊かな枕を使っているなんて、おしゃれな生活だねぇ。富貴とか子孫繁栄とかを真剣に願って、作られていたんだろうけれど。

 

石造りの虎形枕(宋時代 10-13世紀)は表情がネコみたいでかわいかった。辟邪かなぁ。楽しい夢を見られそうだけれど。

一部壊れてしまった作品も展示されていた。胎土の色とか釉薬の層とかが観察できて、そういった作品も勉強になってありがたい。

 

三彩庭園図長方形枕(金時代 12-13世紀)は展覧会の紹介ページに掲載されている作品。
かなり大型のもので、鮮やかな色彩で鉢植えや太湖石、欄干のある庭園の風景、花の文様が描かれている。装飾品ではないか、とのこと。当時の流行だろうか。

 

掛け軸も一幅あって、菊と鶏と読めないけれど画賛があって、佳かった(菊花文禽図 沈周 明時代)。

 

磁州窯って、昨年の「天目」展(東洋陶磁美術館)でも素敵な作品に出会えたなぁ。
有名な掻落や鉄絵だけではなく、色々な装飾技法があり、図柄とかデザインに生活感があって、親しみを覚える。さらに学んでいきたい。

 

f:id:ivoryw:20210111174732j:plain