大和文華館「東アジアの動物~やきものと漆」その2

和文華館のやきものと漆の作品が100点近く鑑賞できる「東アジアの動物」展 つづき

吉祥の動物①魚
「白地黒花鯰文枕」(北宋~金時代 磁州窯)磁州窯の陶枕というのは、色んな図柄があるものだ。如意頭形の器面に鯰が飄々と泳いでいる。世の中をこんな風に(年年如意)泳げたらよいけど。

 

「三彩印花魚文長盤」(遼時代 缸瓦窯)遼の楕円稜花型のおしゃれなお皿は何度か展覧会や図録でお目にかかったことがある。明るいマリーゴールドの花の色をした牡丹の図柄だった。このお皿は魚たちが緑釉の中に浮かんでいる。どんな料理やお菓子が盛られていたのかな。遼のやきものをもっと見たいものだ。定窯とはどんな関係だったのだろう。

 

螺鈿魚文盆」(朝鮮時代)とても薄くはかなげで、軽そうに見える螺鈿細工の盆。殊に透き通りそうな大きめの魚の表現が印象に残る。

 

吉祥の動物②鹿
「沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒(いかけじあおかいかながいまきえぐんろくもんふえづつ)」(重要文化財 江戸時代前期 伝本阿弥光悦作)
漆の手法なのだろうか?とても洗練されたデザインで神聖な鹿のさまざまな姿が表現されている。とにかくきれい!秘宝だ。鑑賞できて幸運。

 

「灰陶加彩誕馬」(南北朝時代) 「灰陶加彩駱駝」(南北朝時代)この二つの作品は馬と駱駝の姿が非常に活き活きとしている。凝った鞍飾りからは当時の風俗が垣間見えて面白い。

 

吉祥の動物③鳥
「色絵鳥文鉢」(江戸時代後期 賀集珉平作 淡路)なめらかなクリーム色の素地に鮮やかな色彩の大きな鳥と柘榴が描かれている。独特の雰囲気を持ったやきものだ。

 

「五彩花鳥文小壺」(明時代後期 大明萬暦年製銘 景徳鎮窯)カラフルで図柄も軽快なかわいらしい壺。陶磁器の技術が極まった感じだ。

 

「五彩花鳥文大鉢」(清時代前期 景徳鎮窯)さらにゴージャスな作品だ。花・鳥・植物などが窓に分かれて、華やかに精緻に、みっちりと描きこまれている。これほど色と模様が溢れていても、けばけばしい感じにならないのは、色のバランスが絶妙だからかなぁ。

 

多色使いの絵付けの陶磁器は、とても美しいと思うのだけれど、私はどういうわけか、絵付けではなくて、ただ釉がかかっているものに、より心惹かれる。
飾りは彫りとか、印花が好きだ。そのような陶磁器の肌の世界に、没入して眺めてしまう。

ここであの青磁九龍浄瓶に戻ってみると、

2018年 東洋陶磁美術館 「高麗青磁~ヒスイのきらめき」展にて撮影


瓶の胴部に龍身が彫り出されている。そのうえに、貫入がはいって、宝石で作られたもののように美しく見える。数々の名品が並ぶ会場であるが、やはりこの浄瓶に思いが戻っていくのだ。

 

周囲の状況が日々、今までになく厳しくなる中で、このように美しいものに触れられることに感謝しよう。