湯木美術館「茶の湯の絵画と絵のある茶道具」

8月のお盆休みに、東洋陶磁美術館のオープンデータの画像を使わせてもらって、加彩婦女俑がプリントされたトートバッグをカメラのキタムラさんにお願いした。
画像をアップするときは、tiffjpegに変換するにはどうする、とか考えつつ、もうあの作品には会えないな、8月に平常展が見られないのはつらい、いやもう来年からは東洋美術に触れる機会がほとんどないぞ、雑念いっぱい、未練いっぱい。
大阪を離れることの痛みがじわりと心に広がる。
人生はそんなもんだなぁ。お別れを味わっていくしかない。

 

鬱々としないで、今日は出かけましょう。
茶の湯の絵画と絵のある茶道具」湯木美術館の令和4年秋季展が始まった。
若い時、展覧会というと西洋絵画ばかり見ていたような気がする。しかし、このごろは絵ばかりの展覧会はどうも足が向かない。やきものや、工芸品を見るのは理屈抜きで楽しい。
自然の力や人々の業と思いが現出させた物の美しさに感嘆し、魅了される。しかし絵画はそう単純ではない。
湯木美術館なら、絵画がテーマであっても、お道具を見せてもらえるから、行ってみよう。

 

 

ほら、やっぱり、よかった。素晴らしい高蒔絵の棗が2点、赤楽茶碗が1点。最初のケースから迎えてくれる。その傍らに紅葉と鹿の掛け軸。小さい画面なのに、鹿が鳴く秋の山に誘ってくれる。表装の布の響きあいを見るのもよいねぇ。

「鹿絵賛」(小堀遠州 江戸時代17世紀)「住吉蒔絵平棗」(山本春正 江戸時代17世紀)「菊蒔絵大棗」(原洋遊斎 江戸時代19世紀)「赤茶碗」(如心斎絵 左入作 江戸時代18世紀)


仁阿弥道八の「銹絵雪竹文手鉢」はデザインも大胆だけれど、みずみずしい色調にはっとさせられる。同じ作者の「銹絵染付楓之絵鉢さびえそめつけかえでのえはち」も印象に残った作品。銹絵と染付で描かれた重なり合う楓の葉の上に、霜のようにうっすらと白釉がかかっている。きれいだ。(江戸時代19世紀)

 

「浮御堂絵賛うきみどうえさん」(千宗旦 江戸時代17世紀)わずかな筆数であっさりと描かれた(ある種のマンガみたいな)浮御堂なのに、琵琶湖の波風が伝わってくる。面白いねぇ。表装によって仕切られた画面から別世界が広がる。


「古染付山水文芋頭水指」(明時代17世紀)ずんぐりとしたかたちの器に余白を広くとって染付の模様が描かれている。ちょっと地味目で落ち着いているところに惹かれる。


絵画もやきものも、漆器も、いつもながら最高のコレクションを見せていただいて、心がすっきりとした。
前後期で入替があるので、また訪ねたい。

 

 

トートバッグが出来てきた。以前に耀州窯の瓶をプリントしたものと並べて飾る。作品の面影を毎日感じていたい。