大和文華館「やまと絵のこころ」

梅が見頃になりそうだ。

和文華館のお庭はどうかな。

「やまと絵のこころ」展があとわずか。

今まであまり興味がなかったが、「やまと絵」というものを見に行こう。

 

 

梅見物のついでに、と軽い気持ちで訪ねたら、のっけから重要文化財やら国宝やらがお出ましで嬉しい衝撃。

「寝覚物語絵巻 ねざめものがたりえまき」(平安後期 国宝) 

とてもきれいだ。よくぞここまで色彩の美しさを保っているものだ。

悲しいストーリーのようだが、絵巻は金銀の装飾がこらされ、鮮やかな色彩で描かれて雅やかなものだ。
屋敷の屋根が取り払われて上から物語をのぞいているような構図だ。

 

 

いっぽう重要文化財の「源氏物語浮舟帖」(鎌倉時代)はとても繊細な白描で、平安時代の女性の長い黒髪の美しさが描かれている。線に太い、細いがないせいか独特な表現に思える。

 

続いて、岩佐又兵衛俵屋宗達尾形光琳尾形乾山酒井抱一…… 誰もが一度は目にし耳にしたことがあるお名前が並ぶ。


緻密に描かれた人物や風景、それを取り巻く金色の雲か霞が場面を引き立てている。

たまには、王朝風な、貴族的なものに触れるのもよいかぁ。

 

 

後段は岡田為恭(おかだためちか)という幕末の画家の作品を中心に復古やまと絵の世界を案内してくれる。

岡田為恭は平安・鎌倉の古画を勉強し、たくさんの作品を模写したそうで、会場には「善教房絵詞模本」と「粉河寺縁起模本」が展示されていた。

両方とも人物の表情や仕草が面白く、漫画を読んでいるような楽しさがある。

 

これは入り口付近のポスターを近接撮影したもの。きれいに撮れているので、直に作品を撮影したみたいに見えて怒られそうだ。(「伊勢物語八橋図 岡田為恭筆」の部分)

 

六曲一双の屏風「春秋鷹狩茸狩図屏風」も見事だった。季節の表現、緻密で華やかな人物群像、鮮やかな彩色、金の霞がたなびいて、私が抱くやまと絵のイメージにぴったりだ。

 

はて、この美しくきらびやかな「やまと絵」は現代にどのように受け継がれているのか、いないのか、そんなことも知りたくなる。

 

そして何より、湯木美術館に続き、何気なく、稀少な逸品を見せてくれる美術館を訪れることが出来て、大阪に戻ってきた幸せをかみしめる。