このたびの展覧会の作品は、いつもならイ・ビョンチャン博士のコレクションと日本陶磁の展示室になっている2部屋に展開されている。
日本陶磁の展示室は座敷で鑑賞することをイメージして展示ケースが低い。おかげで、器の見込(碗や皿などの内側部分)を見る事ができる。
通常の展示だとなかなか見込が見えなくてガラスに張り付いて背伸びしてのぞき込むことになる。ガラス汚してごめんなさい。
外側の胴まわりと見込を両方よく見せる展示ケースは限られているので仕方がない。
見込が見えるいっぽうで、低い展示ケースの中にある小品の器側面を見るのはなかなか苦労する。
清時代の美しい碗側面を見ようとして私も含め何人かのひとが、身体を横に曲げる、あるいはしゃがみ込むなどして鑑賞していた。傍から見たらおかしな光景である。
さて、大詰め清時代である。技術の発達の上に花開いた作品を見ていこう。
素三彩花蝶文鉢 清時代 康煕在銘(1662-1722) 景徳鎮窯
素三彩とは素焼きした磁胎素地に、緑、黄、紫などの鉛釉系の色釉をかけわけ、低火度で再焼成したもの。
花の模様の下に龍の文様が刻まれている。花蝶模様と龍の文様に関係があるのか、ないのか、美しくも不思議な印象を与える碗である。
釉裏紅団鳳文碗 清時代 康煕在銘 (1662-1722) 景徳鎮窯
◎釉裏紅(ゆうりこう): 器表に酸化銅を含んだ顔料で絵付けをする技法。銅は均一の発色を得ることが難しい。
清時代には安定した美しい発色と緻密な文様表現が可能になった。
館蔵品ではこんな大きな盤もある。
釉裏紅牡丹文盤 明時代 洪武(1368-98) 景徳鎮窯
次はこの展覧会のクイーン
◎粉彩:磁器の釉表に不透明の白色顔料で文様の下地を描き、その上にいろいろな顔料で絵付けをして、再度焼成したもの。ヨーロッパの無線七宝の技術を応用して考案された。
構図も色彩表現も、陶磁器に描かれた文様というより絵画のようで、どこか洋風でもある優雅な作品。
さて、次は豆彩
淡い青緑色(豆色)の上絵の具が美しいことから豆彩の名がついたという。
豆彩瑞獣波濤文盤 清時代 雍正在銘(1723-35) 景徳鎮窯
次の盤は明時代の黄釉青花盤によく似ているけれども、酸化アンチモンが呈色剤に使われていてもっとレモンイエローに近い。
黄地青花桃樹文盤 清時代 乾隆在銘(1736-95) 景徳鎮窯
次は夾彩
粉彩と同様の上絵の具を用いて、白磁の器全体を余白を残さずに地色や文様で塗り詰めたもの。
まだ続く。
これはいったいどうやってつくったのだろう。現在ではパール光沢のある食器はよく目にするけれど
真珠釉暗花壽字龍文碗 一対 清時代 乾隆在銘(1736-95) 景徳鎮窯
自分としては白磁を見ると心が落ち着く感じ。
最後にこの作品を見て、この展覧会からの学習を終了としよう。
茶葉末双耳壺 清時代 嘉慶在銘(1796-1820) 景徳鎮窯
鉄を呈色剤にした失透性の釉を高火度焼成することで、茶葉の粉末のような発色を見せる。
これは固体ではなく中に液体が流れているのではないかと思われるような器の肌
陶磁というのは奥が深い。
すごいコレクションだねぇ。中国陶磁の歴史を名品を通して、学ばせてもらいました。
素晴らしいものを惜しみなく見せていただいたことに感謝。
今日はここまで。