フィンランド陶芸展が始まったので、東洋陶磁美術館に出かけた。
展示空間にはテキスタイルの作品もあり、デザインの美しさ、面白さに満ちていて、うきうきと鑑賞できた。
日常生活にとりこめるアートという感じがして親しみやすい。
10月までに、また訪れたい。
さて、しかし今日のお目当ては別にある。フィンランド陶芸やテキスタイルに夢中になって忘れてしまわないうちに中国陶磁の部屋に急いだ。
あった、あった。越窯の神亭壺
人や家や亀や何だかよくわからないものが上にのっていてとても奇妙な壺だ。
子孫繁栄を願ってお墓に副葬された明器だそうだ。
千七百年以上も前、三国時代の終わり呉の国…どんな人たちがどんな思いやならわしで作ったのか。想像力が及ばないなぁ。
上部の装飾といい、側面の馬?に乗った人物の文様といい何となくおかしみがある。
子供のような好奇心が湧いて壺をしばらく眺めていた。
神秘の「越窯」。これはもう青磁なんだねぇ。
神秘といえば、中国陶磁展示室、その入り口でいつも迎えてくれる5~6点の作品は千年以上も前の中国のお墓の副葬品だ。
楼閣や俑、唐三彩、緑釉の壺、天鶏壺に囲まれると私は幾分神妙な気持ちになる。
その時代にもうすでに非常に発達した文化・文明があったことに驚きと尊敬の気持ちが生まれる。
(左)加彩婦女俑 唐時代 8世紀(中)三彩貼花宝相華文壺 唐時代 7-8世紀(右)青磁天鶏壺 南北朝時代 6世紀
フィンランド展で楽しくわくわくした気持ちでアートに触れるのもよいし、厳かで静かな空気や歴史を感じるのもこの美術館の楽しみだ。
大好きな名品を眺めた最後に元時代の堂々とした作品の前でひとやすみ。
素晴らしいコバルトの絵付けが心に沁みた。
青花龍牡丹唐草文双耳壺 元時代 14世紀 景徳鎮窯
青花牡丹唐草文盤 元時代 14世紀 景徳鎮窯
(左)青花牡丹唐草文梅瓶 元時代 14世紀 景徳鎮窯(中)青花宝相華唐草文盤 元時代 14世紀 景徳鎮窯(右)青花蓮池魚藻文壺 元時代 14世紀 景徳鎮窯