月白釉の碗

なんとか引っ越しした。が、長年の苦しい問題(空き家!)が突き付けられ、精神不安、気持ちの悪い疲労感に襲われているうちに、師走になってしまった。

脆弱な自分が問題に対処できるのか甚だ心もとない。

 

陶磁器を眺めることは私にとってもっともよく効く精神安定剤

古い陶磁器の前に立つと、心が落ち着く。見ている間は諸事を忘れ、萎えた心が動き始める。

ゆったりとした気持ちで美術品を鑑賞できればよいのだが、そのような日はしばらくやってこないだろう。

 

さてと、今度の東洋陶磁美術館の企画展では、久しぶりに鈞窯の月白釉の碗が出展されるらしい。

心に点灯。水色の釉をまとった器に会いに行こう。

 

いた。いた。お久しぶり。嬉しいね。ずっと思っていた。相変わらずきれいだね。

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月白釉碗 金時代 12-13世紀 鈞窯

ふわっとした水色が好きだ。

 

解説には月白釉(げっぱくゆう)という鈞窯特有の失透性の淡青色の釉がかけられているとある。

 

「月白釉」という言葉自体が美しい。

出光美術館発行の図録「宋磁~神秘のやきもの」に、東洋陶磁美術館の耀州窯の青磁香炉について

「月白釉」と呼ばれる艶のある玉の輝きを彷彿させるような雰囲気の作品である。

と、優雅な解説があり、印象に残っている。

 ここで紹介されている香炉はとても繊細で神秘的で、小ぶりでかわいらしさも感じる作品だ。

今は展示されていない。次回の登場はいつだろう。

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 青磁印花花文香炉 金時代 12世紀 耀州窯 

 月白釉についてはもっと知りたい。

 

定窯の柘榴唐草文の碗もすてきだった。

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白磁印花柘榴唐草文碗 金時代 12-13世紀 定窯

 

東洋陶磁美術館では、今日から「オブジェクト・ポートレイト」という企画展がはじまり、現代美術もあり、ペルシアの古陶器もありの、いつもとは趣の異なる美術空間になっているのだけれど、それについては次回にまわそう。

今日は思い続けていた作品に会えて、心がいっぱい。鬱々としていた私の心をやわらかい水色で満たしてもらった。見ることができるうちに、何度も足を運ぼう。

 

 あなたに会うとほっとします。

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