中之島香雪美術館で開催されている「茶席を彩る中国のやきもの」展を見に行った。
中国の宋、元、明、清時代のやきものが日本に伝わってお茶席でどんなふうに使われ、大事に守られ、愛されていたのか、茶道のことはちっともわからない私にも、伝わってくる展示だ。
黒くて渋い禾目天目や少し小ぶりの灰被天目茶碗はきれいだったな。こんなお茶碗を手に入れたらお客さんを招いて見てもらいたいだろうねぇ。
蓋置や香合などの小さい作品も、遊び心のあるデザインが多く見ていて楽しい。
見込に円盤が張り付いた14世紀元時代龍泉窯の大きな青磁の鉢が展示されている。
おぉこれはひょっとして「陶磁の道」(三上次男著 岩波新書)でビスケット状の大きな菊形の花模様と表現されていたものと同じようなものかしらん。第4章で中東の国からの注文に応じて龍泉窯で生産されたものと結論されている鉢や碗とこの作品はお仲間かもしれない。だとしたら日本にあるのはどういったいきさつだろう。
もう一度丁寧に読み返そう。
もっと小さな龍泉窯(南宋時代13世紀)の双魚文鉢にも惹きつけられる。
やっぱり釉薬がきれいだねぇ。
明や清時代の作品は技術的に最高水準なんだろうけれど、どうしても私はその前の時代の作品に目が行ってしまう。
出来れば白磁や青磁が生まれてから、定窯や景徳鎮窯の美しさにたどり着くまでの作品を見てみたい。
そういう意味で、2013年に東洋陶磁美術館で開催された企画展「白檮廬コレクション」を見逃した後悔は大きい。
たまたまだいぶん後になってから図録「中国古陶磁清玩」を購入したら、是非鑑賞したい作品がたくさん載っていた。
いや、もしかしたら私は拝見していたのだが、作品のことがよくわからなくてただ通り過ぎていたのかもしれない。
今はちょっぴり当時より学んだので、見られなかったこと、あるいは覚えていないことを実に悔しいと思う。
だから今日龍泉窯の鉢に出会ったように一回一回の出会いを大事にしようとあらためて思う。