大和文華館 特別展「天之美禄 酒の美術」

「加彩婦女俑に魅せられて」関連イベント の1回目の動画が公開された。小林仁先生のレクチャーも、彦十蒔絵プロデューサー若宮 隆志さんの見立作品制作をめぐるお話も、お二人の対談も非常に面白く、深い。繰り返して拝見できることもとてもありがたい。視聴を重ねて、婦女俑の面影を追っている。

 

だが、今日は久方ぶりに県境を越えて、奈良の大和文華館を訪ねる。
特別展「天之美禄 酒の美術」 素晴らしい天からの贈り物である酒にまつわる芸術作品の展示と聞くと、佳いにおいがしてこない?

 

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さて、入り口のケースは何だろう?

何と、前から一度見たいと思っていた泉屋博古館の青銅器があるではないか!
戈卣(かゆう) 鴟鴞形の器 円い目とぷっくりとしたお腹、ちょっと内またの足が可愛らしい。
象文兕觥(じこう) カレールーをいれるポットのような器に角のある動物の蓋がついている。
両作品とも商時代のお酒をいれる器 奇妙で魅力的な形、饕餮文のようないろいろな文様に覆われて、神秘な謎そのものだ。

出会いの作品ですでに満足だが、ここからがスタート。
和文華館の所蔵品に加えて、他の美術館、神社などから貸出された多彩な作品、貴重な文化財が次々と登場する。
後漢時代の銅鏡や画像磚、北魏時代の石棺床、金時代磁州窯の陶枕、桃山時代の能面、室町時代の太鼓形酒筒、江戸時代の酔客の図巻といった具合だ。
杯や瓶といった酒器についても、さまざまな時代の、さまざまな素材や技法の作品が鑑賞できる。
こんな機会はなかなかないなぁ。

 

青磁多嘴壺(北宋時代 龍泉窯)壺から生き物のようにチューブが伸びている。この不思議な形の器について、酒の香りを墓室に充満させるためと考えられるとの解説があり、なるほどと感心する。

 

同じポーズをとる華やかな美女の競演も面白い。
五彩金襴手婦女形水注(明時代 景徳鎮窯 大阪市立東洋陶磁美術館)と五彩婦女形水注(明時代 景徳鎮窯 東京国立博物館)頭頂部から水を注ぎ、髷が蓋になり、右手袖が注ぎ口になっている構造。

 

東洋陶磁美術館内で撮影したものです。

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談山神社に伝わる3点の青白磁の瓶子(北宋から南宋時代)を見ると、長きにわたって非常に大事にされてきたことがうかがわれて感動する。

 

漆を用いた美しい作品も多い。根来塗というのは朱の漆の中に下に塗られた黒漆が浮かび上がって、すてきだな。

 

作品の中に詩歌やストーリーが込められたものも多数で、もう少し時間をかけて深く味わいたい。
これは一回では足りないな。
何とか来月も足を運びたいものだ。

 

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11月には山茶花が咲いているかもしれない