東洋陶磁美術館で「コレクション展関連テーマ展示『加彩婦女俑に魅せられて』」という試みが始まっている。
唐時代の婦女俑がテーマか…
私にとってはアイドル、中国陶磁の展示室を訪れる度に挨拶をしているよ。
いつも展示台の上でゆったりと回っていて、その姿はどこから見ても美しい。
彩色が剥がれて、いっそう造形美が際立つという解説のとおりだ。
はて、唐時代の俑に触発されて、どんな作品ができるのだろうか。
「見立漆器 加彩婦女俑 若宮 隆志作」は何というか「艶」を感じるなぁ。
オリジナルのものは、時間の波に洗われ、ほどよく褪せて、無垢な陶器の精のよう。
いっぽう新たに漆器で制作された婦女俑はそっくりなんだけれど、より人間味のある大人の佳人、と見える。
こちらはオリジナルの婦女俑
小鳥を手に乗せるかどうか、小鳥のデザインは?どんなふうに決められたのかな。
「見立漆器加彩宮女俑 若宮 隆志作」もあり、中国陶磁展示室とロビーを行ったり来たりして、うきうきと両像を見比べる。
こちらがオリジナル
3Dデータを活用したという「加彩婦女俑 レプリケーション 坂爪 康太郎作」
成型され、生まれたばかりの婦女俑を眺めているようだ。
そして、刺激的な「TOMB LADY MASK feat. GIGAKU STYLE 坂爪 康太郎作」
おや、まあ、こんな造形に変容するとは!独特の世界だねぇ。
「加彩再加彩」「帯我去未来」(安藤 英由樹作)
3Dスキャンデータ、空間再現ディスプレイ、フォトグラメトリ…
自分には縁遠いけれど、これからどんどん活用されて、身近になっていく技術や手法なんだろうなぁ。
若い人たちがゲーム感覚で楽しんでいる。婦女俑は仮想の空間にかわいらしく浮かび上がっている。
観る人が仮想空間に入り込めるならば、私は逆に婦女俑の時代へ、大唐の都長安で市中を行き交う人々を見てみたい。名高い唐詩、胡旋舞、胡服ファッションを見たり、聞いたりしてみたい、と妄想する。
これからの作品展示は変わっていくのだろうなぁ。
私自身は博物館的、考古学的、学術的な静謐な展示が大好きだ(自分にないものを求めたい)。
しかし、これからはオンラインでの鑑賞(有料の鑑賞ツアーとか)も期待したい。
また、このテーマ展示のような今現在、創作に取り組んでいる人々とのコラボもとても面白いと気づかされた。
動画配信される予定の関連イベントを楽しみに待とう。応援しています!
と、同時に千年以上前の婦女俑、宮女俑の美しさをあらためて実感した。作品への思いをさらに深くしたことも記しておきたい。