先日購入した東洋陶磁美術館の館蔵品図録(4000円)について記録しておきたい。
ずっしりと重い。本の中に小さな美術館がある。
写真の色彩がすばらしくて、真に実物を見ているようだ。
背景の調子を明るい灰色から濃い灰色、黒に至るまで作品に合わせて細かく変えているので、作品が紙面から浮かび上がってくる。
畳付きの写真が本体と同じページに小窓からのぞいていて、一緒に見られるから面白くありがたい。
ところどころに部分拡大写真のページがあり、これがまた見ごたえがある。
釉薬がつくりだすまったりとしたやきものの肌、彫りや絵付けなどの最高の技、細部にある思いがけない意匠
そこに実物があるかのようで、思わず紙面に手を伸ばし表面を撫でてしまう。
定窯の花喰鳥盤の印花模様は上品さと華麗さにみちていてすてき。
右 白磁印花 花喰鳥文盤 金時代 12-13世紀 定窯
元の青花の盤では牡丹の花の表情を変えたデザイン、藍の濃淡、葉や茎がつくる正確でしっかりした線などがよくわかる。
このほっそりとした唐時代の宮女は横顔もいいねぇ。頭飾りは何だろう?
左 青花 牡丹唐草文 盤 元時代 14世紀 景徳鎮窯
右 加彩 宮女俑 唐時代 7世紀
後漢の楼閣は最上階の弩を持つ人の写真があるけれど、一階で左右に立っている人も奇妙なスタイル、顔立ちで気になるんだねぇ。
古代の青銅器のかたちに倣ったもの、不思議な文様、恐ろしげな装飾になぜか心が惹きつけられる
左 緑釉 楼閣 (一階部分) 後漢時代 2-3世紀
右 青磁貼花 夔鳳文 香炉 金時代 12世紀 耀州窯
などなど…拡大された美しい画像が、新しいことを教えてくれる。
ページをめくりながら、実際に美術館で鑑賞しているときを思い浮かべて楽しむ。
もちろん韓国のやきものも高麗青磁をはじめたっぷりと載っている。
巻末にはやきものの基礎知識のページがある。館蔵品を実例としていてたいへんわかりやすい。
大好きな作品ばかり。この図録は私の宝物になりそうだ。