「明器-古代中国 墳墓のやきもの」ギャラリートーク

大阪市立美術館コレクション展「明器-古代中国 墳墓のやきもの」のギャラリートークを受講した。
展示の概要説明に加えて、質問も受けていただいた。とてもお値打ちの入館料300円

中国古代の墓室から見出された美。怖いようでもあるが一度実際の墓室に足を踏み入れてみたい気もする。


<見たこと学んだことをメモ>
新石器時代から唐時代までさらっと陳列された作品を見て回って、さまざまなことに驚きと不思議さを感じてならない。


〇青銅器は殷や周といった遠い昔のころから戦乱の時代も生産され続け、陶器の型のもとにもなった。
〇青銅器そのものをお墓の中に入れてしまうのはもったいないので陶器のレプリカがつくられた。
〇低火度焼成の鉛釉の陶器が明器として用いられた。それらは、はじめは緑釉と褐釉がおもなものであった。
〇明器としてつくられた陶器は低火度焼成なので実用には向かない。水漏れするかもしれない。
前漢時代にはもうすでに、のちに青磁に発展する灰釉の陶器があらわれる。


〇漢時代は厚葬の風習が盛んで副葬品が多かった。その後少し下火になった。
〇唐時代に有名な「唐三彩」も明器としてつくられた。


〇器類のほかに、官人、女子、力士、庖人、侏儒、犬、馬、駱駝などをかたどった人形・模型、お墓を守る鎮墓獣などを鑑賞することができた。
〇人間を模したものは俑といわれ、殉葬する人のかわりにつくられはじめたともいわれる。

〇家屋やかまど、見張り櫓や井戸といった生活場面をミニチュア化したような模型もある。

〇それらの俑・模型は型を用いたりして大量生産というか手工業的につくられた。

 

そのほかにもお墓をかたちづくる構造物の一部(画像石)の展示もあった。
なるほど中国の墓室の世界を構成する要素が2つの展示室にピックアップされている。


私のなかの点と点、断片的な体験がちょっとずつ線になる気がした。

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左から 青銅饕餮文双耳壺 殷時代後期 紀元前12-11世紀(イセコレクション展から)

    加彩 官人俑 北魏時代 6世紀(イセコレクション展から)

    緑釉 壺 後漢時代 2-3世紀(東洋陶磁美術館)

    加彩 山羊 唐時代 8世紀(唐代 胡人俑展から)

 

大阪市立美術館の収蔵品の中にしめる明器の割合はかなりあるそうだ。
ここばかりでなく、この先、公的な博物館にあるどちらかというと地味だけど貴重な文化財が維持保管されていくのか、とても心配な気持ちになる。

鳴り物入りの展覧会とかだけじゃなく普段の美術館・博物館を気軽に利用する人がもっと増えるといいなぁ。