奈良国立博物館青銅器館

青銅器を見に奈良国立博物館の青銅器館(坂本コレクション)を訪ねた。

あまり時間がなかったので仏様のお姿を横目に「なら仏像館」を通り抜けて青銅器館へ直行する(もったいない)。

 

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正面で、卣(ゆう 鳳凰文卣 商末周初期 B.C.11~B.C.10世紀)という青銅器が迎えてくれている。

おぅ、これはすごいな。小さな宇宙船?ハウルの動く城だっけ?

何と奇怪かつ神聖で精巧で、しかも豪華なものだ。

どんなものかって、他のものにたとえようがない。

器体は全面に浮き彫り文様で覆われているばかりでなく、あちこちから突き出て伸びているような飾りや奇妙な手のひら状のものがついている。

黒ずんだ金属と緑青の色つやと輝きが3,000年を経た重みと美しさを放っている。

不思議、不思議…卣のまわりをくるくると回って見入る。

 

ようやく卣から離れてほかの器に目を移す。

展示室の壁面に沿って、器の形ごとに分類されて展示されているのでわかりやすい。

 

陶磁器の祖型になったという青銅器のかたち。

 写真は撮影できないけれど、ミュージアムショップで求めた入門テキスト「坂本コレクション~中国古代青銅器」をたよりにいくつか青銅器の形と名前を記録しておこう。

 最初は「爵 しゃく」

3本足のお酒を温める器 注ぎ口と把手がついている 

 

次は「͡觚 こ」

爵とセットで用いられた祭祀用のカップ 上に開いたラッパ形で下に足がついている

 

「卣 ゆう」提げ手のついた酒つぼ ここで最初に見たのは大きな酒つぼだったのか

 

「鼎 てい」肉などを煮て供え物の料理を作るための鍋 これはときどき目にする言葉

地位の象徴として鼎の所持数に意味があったのだそうだ

鼎や4本の足を持つ方鼎は香炉みたいに見えるねぇ。

 

「簋 き」穀物を盛るのに用いられたとされる器 

大きな饕餮文が施された光輝く素敵な簋が展示されている 大眉饕餮文簋 西周前期 B.C.11~B.C.10世紀

 

「盨 しゅ」簋の平面形を隅丸の長方形にしつらえたもの

「簠 ほ」盨とよく似たもの やや流行時期が遅れる 四隅が直角

 

完成したばかりのときこれらの青銅器はどんな輝きだったのだろう。

三千年も四千年も前にこのように技術的にも芸術的にも抜きん出ていたものを作り、用いていた文明世界が中国には存在していたんだ。

古代の別世界を覗かせてもらったねぇ。感嘆のため息。

 

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