大和文華館「東アジアの動物~やきものと漆」

いっこも身につかないが、中国の歴史を文庫本で楽しんでいる。今朝読んでいた一節に元祐元年(1086年)に王安石が没したとあった。「元祐」ってあの磁州窯の盤(東洋陶磁美術館所蔵)に記されていた年号かなぁ。それが何だという話だけれど、自分的には数ミリ、歴史に近づいた気分がする。

 

黒釉「元祐四年」銘盤 磁州窯系 北宋時代 東洋陶磁美術館所蔵 

2020年 「天目 中国黒釉の美」展にて撮影

 

さて、7月8日から大和文華館で開催されている「東アジアの動物~やきものと漆」展を訪ねた。

 


東洋陶磁美術館の高麗青磁展で見せていただいた「青磁九龍浄瓶」(重要文化財 高麗時代)にまずお会いする。

 

2018年東洋陶磁美術館開催「高麗青磁 ヒスイのきらめき」展にて撮影


おとぎ話に出てくる宝物、気高い龍の霊力が発現する、夢のような幻のような作品。
装飾的なデザインでありながら、実用面も備えて(龍の口から水が出るのだそうだ)いるから驚きである。

この浄瓶を目当てに行ったので、これでもう幸せ。


だが、さらに嬉しいことに動物というテーマで括って、工芸品のコレクションが惜しみなく展示されている。時代とか、技法とかにあまり関係なく動物の種類(瑞獣・魚・鹿・鳥)ごとに展示されている。

 

お出迎えには、前述の浄瓶のほかに明時代の「螺鈿水禽文輪花盆」と、隋・唐時代の「白磁蟠龍博山炉」が揃っていて、これら3点だけでも素晴らしい。

神山にまきつく二頭の龍、博山炉って当然だけど頭でっかちなデザインが多いなと思っていたが、この作品は洗練されている。少し黄褐色がかったいにしえの白磁を見られることも貴重でありがたい。

 

瑞獣(龍や鳳凰など)から展示がはじまる。
「龍文佩玉」(春秋~戦国時代)龍の形をした玉の細工がかわいい。
白磁黒釉印花雲龍文鉢」(元時代 景徳鎮窯)黒釉が器の内面だけに掛けられていて、ちょっと変わっている印象。
「釉裏紅鳳凰文梅瓶」(元時代後期 景徳鎮窯)銅を用いて文様を描く釉裏紅の技法で鳳凰文がくっきりと発色している。
「銅製帖銀鎏金双鳳狻猊文八稜鏡 どうせいちょうぎんりゅうきんそうほうさんげいもんはちりょうきょう」(重要美術品 唐時代)鳳凰と獅子と鳥たちが遊んでいる華やかで美しい唐時代の鏡。よく保存されているなぁ。
鳳凰唐草文軒平瓦断片」(統一新羅時代)とても繊細で優雅な彫り模様が瓦に刻まれている。

 

おや、いろいろ記録したつもりで、まだ第1章だ。つづきは日を改めよう。また足を運びたい。

 

 

 

 

 

中之島香雪美術館特別展「陶技始末河井寛次郎の陶芸」

中之島香雪美術館の特別展「陶技始末河井寛次郎の陶芸」を訪ねた。来場者が多い。

 

 

Ⅰ章の1節「中国陶磁への憧憬」では、中国の古陶磁研究から生まれたさまざまな窯様の作品が並び、面白かった。
鈞窯風、龍泉窯風、磁州窯風、何でもできてしまうんだ!

 

古陶磁に倣って、技術を極め、模索するといえば、以前に小森忍という方の図録(江別市セラミックアートセンター発行)を見て、驚いたことを思い出した。
中国古陶磁の研究から生まれた変幻自在の釉に包まれた作品に目を見張った。
いっとき河井寛次郎と小森忍は京都市陶磁器試験場というところで技手として、同僚だったんだなぁ。
20世紀初めの日本であっても、中国の古陶磁は倣うべきお手本であったのか。

 

会場では、いろいろな技法を駆使しながら、そのうえに人間味を感じさせるやきものが、花が咲いたように並んでいる。
潤いと温かみのある釉の色や、あっさりと描かれたような草花模様に惹きつけられる。


ポスターにある「辰砂扁壺」(昭和23年)の色彩はとても鮮やかな臙脂で、イッチンの白い花が浮き上がっている。
「呉洲筒描花手扁壺」(昭和26年)同じように色彩が美しいオブジェのような絵画のような作品だ。


Ⅲ章 「河井を支えた人々~関西の支援者・収集家たち」
川勝堅一のコレクションから出展されている「草花絵扁壺」(昭和14年)が特に心に残った。
やきものならではの落ち着きある白い器肌のうえに、赤、青、褐色で落書きしたような軽快な模様が描かれていて、堂々とした存在感を持っている。それほど大きい作品でもないのだけれど、本当に大きく感じる。

 

自分自身の気づきとしては、「二彩繍花盂」(大正10~12年)とか「青瓷鳳凰獅子牡丹唐草文鉢」(大正10~12年)のような古陶磁に倣った作品に自然と目が行ってしまい苦笑いした。

 

 

 

 

大和文華館「朝鮮美術の精華~絵画と工芸」

和文華館のお庭はいつ行ってもその時期の趣が楽しめる。
若くやわらかな緑と鶯の声?に、山里に来たように錯覚する。

「朝鮮美術の精華~絵画と工芸」
この展覧会は絵画のほうがメインの展示かなと思う。絵画より工芸品の方が好きなので、どうしようかと思ったが、心に残るやきものにも出会えてよかった。

 

 

最初の展示作品「鉄砂青花葡萄文大壺 朝鮮時代」は白磁の壺の肌に葡萄が水墨画のように浮かび上がっている。同じ会場にある水墨画の手法と通じるとキャプションにある。
その水墨画「葡萄図 李継祜筆 朝鮮時代」は勢いよく伸びるツルがつくる構図の中に水墨の濃淡で描かれたみずみずしい葡萄がたわわに実っている。
たしかに壺に描かれている葡萄と似ているなぁ。
やきものの肌の上に、水墨画のように描くのは難しいのではないかしら。どちらも素敵な作品だ。

 

キャプションといえば、大和文華館ではいつも詳細なキャプションが添えられているので、私は一生懸命拝読している。
作品をじっくり鑑賞する。キャプションを読む。これだけで、ずいぶん学ぶことができる。
キャプションの言葉は、ときに学芸員さんの人柄を思わせることもあって、私にとっては、美術館を訪れる楽しみのひとつになっている。

 

高麗青磁の器が展示されているケースは上から鑑賞するような高さだ。見込を鑑賞するにはよいのだけれど、器の側面を見るのがむずかしい。スクワット姿勢。鍛えていないからすぐコケる。

花の象嵌が施された「青磁象嵌花卉文盃 高麗時代」
花をかたどった8面の器形といい、細やかな象嵌といい、とても愛らしい。これを受ける托もあったのだろうか。
お隣に置かれた「青磁象嵌花文合子 高麗時代」と並んで優雅な高麗の文化を偲ばせる。

「尚薬局」の銘がある「青磁合子 高麗時代」
これは、2018年東洋陶磁美術館で開催された「高麗青磁~ヒスイのきらめき」展で薬研の近くに展示されていたものと同じ作品だろうか。当時、講座か何かで、同じく「尚薬局」の銘がある定窯の作品と似ていると教えていただいたと思う。
高麗青磁は灰色がかった青緑色と表現されることが多い。特にその青みが美しく出ている作品だと思う。

東洋陶磁美術館で開催された「高麗青磁」展会場で撮影した青磁陰刻「尚薬局」銘盒


日本のわび茶で大事にされたざらっとした肌合いのお茶碗(熊川手、斗々屋手、伊羅保手)もあった。

「柿の蔕手茶碗 朝鮮時代」は、ざくざくした肌の感じや色合いが土から生まれた自然物のようだ。

 

絵画の方は、朝鮮半島仏画文人画、水墨山水画、面白い民画に加え、中国、日本の絵画まで幅広い展示だった。東アジアという地域の中で、今思うよりずっと長く、広く文化交流と影響があったのだろうと感じさせられた。


展示の最期の方で、何かに睨まれた気がして、首がすくんだ。伊藤若冲筆の「釣瓶に鶏図」の鶏だった。絵画はやはりメッセージが強い。

 

さて、散る前ののササユリをよく見て帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

湯木美術館「金工の茶道具と釜の魅力」

金工ってどんなかな、とりあえず春季展行っておかなきゃ、と、軽い気持ちで湯木美術館を訪ねた。

 

 

作品から風格を感じるとはどういうことだろう。
ケースの中で格調高く見えるように展示され、キャプションがあるから、素人にはなるほどそのように見える。そうではあるが、最初のケースの前で、中の3点の作品の風格というか、風圧を受けたように、しばし足が停まった。

「古銅桔梗口獅子耳花入 (こどうききょうぐちししみみはないれ)明時代 14~15世紀」 青銅器を模したというエレガントな形の表面に、精緻な龍文が見える。黒いドレスに身を包んだ貴婦人のようだ。

「芦屋松竹図真成釜 (あしやまつたけずしんなりがま)室町時代 15世紀」
抑えめの金属光沢のある胴部に松竹の浮彫が伸びやかに広がっている。どっしりと気品あるたたずまい。

「砂張二重青海水指(さはりにじゅうせがいみずさし)明時代 15~16世紀」
砂張というのは銅に錫や亜鉛を加えたものだそうだ。この色を何といったらよいのだろう。使い込まれた仏具に同じ色を見たことがあるな。時間が(おそらくお手入れも)金属の渋い味わいを引き出している。

 

この会場には「砂張釣舟花入 中国・東南アジア 15~16世紀」という繊細な趣のある作品もあった。

あずき色の鉄さびに覆われてぶっくりとボリュームのある胴部が魅力的なお釜もあった。お茶の釜というのは、産地によって形や肌の特徴があり、名前でわかるらしい。

そろそろ覚えなくては。

 

蓋置や火箸、金工と陶芸、漆芸の組み合わせによる作品もあり、精妙な手仕事やデザインを楽しめた。

 

作品から何かを感じるとは、自分の内面の話とはいえ、多くの人が同じものを見て、同じように美しいと思うのだろうと単純に思っていた。
しかし、お茶道具はそう簡単ではないなぁ。一見してきれい!とかいうものでもない。一筋縄ではいかない。反応する脳の部位がちょっと違うかもしれない。

 

この美術館では何気なく、すごいものが展示されていることがよくある。以前、ふと見た掛物が重要文化財の「石山切」で驚いたことがあった。
今日も、最後に思いがけないものに出会えた。
「禾目天目(建盞)南宋時代 12~13世紀」禾目がきれいに入って、銀の覆輪がかけられた端正な天目茶碗 

「井戸脇茶碗 銘長崎 朝鮮時代 16世紀」橙がかった浅い黄色の釉色の上に、金継が実に見事に柄みたいに入っている。
どちらの茶碗を見ても、うっとり。

 

私の日常は安物に囲まれている。人生ずっとそうであっても、一級の美術品を鑑賞できる機会があれば幸せだ。

 

 

 

 

大阪市立美術館「華風到来」展

年度末業務の泥沼にはまって、おぼれるところだった。

 

大阪市立美術館で「華風到来」展を楽しむ。
お出迎えは「堆朱 牡丹文盆」明時代 15世紀

ややこってりめの華やかなデザインと、超絶技巧 中国文物のイメージにぴったりの作品だ。

 

 

古代から清時代までの中国の書画、工芸品、拓本、石造彫刻。加えて、中国文化への想いが込められた日本の作品、大阪市立美術館のあゆみを紹介する作品も豊富に展示されている。
長期休館前の蔵出し?ボリューム感あるコレクション展示だ。
写真撮影が許可されていることもありがたい。中国作品のいくつかを記録しておこう。

 

 

「草書四帖 写真は元日帖」米芾(べいふつ 宋三大家の一人)北宋時代 11世紀末頃
とにかく惹きつけられる。どうしてこんなに格好良い文字が現出するのだろう。
しかし、意味わからずと、文字に魅力を覚える自分の感性も不思議なものだ。何かを好きと感じるには、自分の中に好ましいと思う形や色や風合いの祖型があるのだろうか。

 

 

「菊花文禽図」沈周(しんしゅう 明代の文人 画家)明時代(1509) この作品は以前のコレクション展「磁州窯の陶枕」の会場に掛けられていて印象深い。自由自在の筆遣いによって、鶏や蝶、菊の花が平穏な光の中で生きている。

 

 

「江南春色図 写真は部分」呉歴款 清時代 18~19世紀 眺めていると、画面の中に入り込んで、どこか南の方にある、のどかで平和な里に暮らしている気分になる。

 

 

「仙子漁者図」 黄慎 清時代 18世紀 こちらは「揚州八怪」展でお目にかかった。 釣果を持ってほくそ笑む仙人のような老人にまた会えた。迷いない筆致と少ない色数での人物表現、絵と一体となった画賛、釣り竿と広い余白で構成された画面 名人の手によってあっという間に仕上げられたように思える。

 

 

「青花 睡起図洗」 清時代 17~18世紀 図柄が面白く、ちょっとニヤッとしてしまう。染付の濃淡がきれいで、女性もバラの花も艶っぽい。どういう経緯で作られたものだろう。

 

 

「青銅 呉王伍子胥図画像鏡」 後漢三国時代 3世紀 
とても劇的な表現 伍子胥は復讐の物語で有名な英雄だったかな。実在の人?なぜ鏡に刻まれている?この作品ひとつだけでも妄想が膨らむ。

 

 

「高慶碑」 北魏 523年頃 北魏王室外戚の名家出身 高慶の墓碑 お手本のように気持ちよく、整った漢字 そういえば「中原の古法-北朝石刻書法」展では力強い作品をたくさん見せてもらった。特に「北魏」の文化って、どんなだろうと興味を持った。

 

石像彫刻の展示室ではガラスケースの周囲から作品が鑑賞できる。
背面や側面にも浅く彫った浮彫のある作品が多いため、展示ケースの周囲をうろうろと、人にぶつからないようにと、展示室中をぐるぐる回る。

 

 

「仏像 中国・日本」展で見せてもらった石の仏様のいくつかに再会。
「石造 如来坐像」北魏(466) 若く端正なお顔で微笑んでいる。いつもお参りして、拝みたくなる。

 


道教四面像」北魏(534)こちらは道教の神様?教祖様?何となく親しみがもてるお像

 

 

このお顔も好きだ。「石造 菩薩立像頭部」北魏 6世紀前半 昔の人がつくった石像彫刻にすっと心を寄せることができる。

 

200点ものコレクションをたっぷり、じっくり拝見し、やっと心の垢がとれたようにすっきりした。感謝、感謝

 

 

 

 

 

 

湯木美術館「慶賀と喜びの茶道具~春の風情を楽しむ」

春分の日、湯木美術館へ行った。春季展「慶賀と喜びの茶道具~春の風情を楽しむ」の最終日だった。間に合ってよかった。
いつ訪ねても、こちらの来館客はすごく真剣に鑑賞する方ばかりだな。
私も集中して拝見しよう。

 

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ちょっとだけお茶道具に慣れてきただろうか。いつものように、特に思ったことを記録しておこう。

 

唐物朱輪花盆(中国明時代16世紀)

とても使い勝手のよさそうな、チャーミングな朱漆の盆
無造作なところもあり、それがわびの芸術性に通じるとされた、というようなキャプションがあった。
いっぽうこの作品の写しも並べて展示されていて(玄々斎好 唐物朱輪花盆写し 江戸時代19世紀)、溜というのか、木目がきれいに見える漆の上品な仕上げ。かなり異なる味わいで、それぞれ素敵。
昨年の加彩婦女俑の企画展(東洋陶磁美術館)でも強い印象を持ったが、「写し」・作品の模倣とはとても創造的な試みであると思う。

 

釘彫伊羅保(くぎほりいらぼ)茶碗 銘「秋の山」追銘「老松」朝鮮王朝時代16~17世紀
見込の色変わりが非常に美しい。自然の風景にあるような色彩(油絵のマチエール?)が器を覆っている。
きっと値がつけられないような名品中の名品なんだろう。

 

お茶の茶碗というのは宋時代の天目茶碗とかは別として、お肌がぶつぶつしていたり、しみがあったり、形も歪んでいたりして、古くてよごれていて、使いにくそうに見えるものが貴ばれているようだ。
お茶を嗜む人からは呆れられるだろうが、鑑賞できる素養がないから仕方がないなぁ。
しかし、よいなぁと感じる、じわっと、心に染みてくる、気持ちが静まり、心の居住まいが正される、面白い!と思うこともある。これからも鑑賞させていただこう。

 

明るくポップなデザインの作品もあった。色絵桜図深鉢(仁阿弥道八作 江戸時代19世紀)
江戸時代の作品に「ポップな」という形容は不適切かもしれないけれど、とても現代的なのだ。
乾山窯 銹絵染付絵替筒向付(10客のうち5客 江戸時代18世紀)も楽しい作品。それぞれ違う柄が描かれている。私は柳の柄がいい、とか、勝手に思う。

 

おめでたい文字や図柄、色彩のお茶道具を見せていただいて、この暗い春の中で、少し気持ちが充たされて、明るくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


            

磁州窯系のやきもの~李秉昌博士記念公開講座を聞いて

イビョンチャン博士記念の講演会が3月5日、オンラインで開催された(第14回 李秉昌博士記念公開講座「高麗陶磁と磁州窯系陶磁」)。
拝聴しながら、今まで出会った磁州窯系の作品を懐かしい人を思うように思い浮かべていた。

 

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緑釉黒花牡丹文瓶(重要文化財) 金時代 12世紀 器のかたちがとても優雅

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黒釉刻花牡丹文梅瓶 北宋~金時代 12世紀 磁州窯といえばこの作品を思う

 

東洋陶磁美術館のクイーンのような牡丹文の瓶と梅瓶はもちろん、おしゃれな堆線の水注や、やわらかな色味の白釉の盆など、いつでも見ていたいと思う。

 

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白釉劃花牡丹文面盆 北宋時代 11~12世紀 クリームシチューのような器面 使ってみたい

 

特に、「天目~中国黒釉の美」(2020年東洋陶磁美術館)では、多様な技法によって生み出される表面装飾を知って、磁州窯の魅力を認識した。

 

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左 黒釉堆線文水注 金時代 12~13世紀

中 黒釉堆線文壺 金時代 12~13世紀

右 白地黒掻落飛白文壺 金時代 12~13世紀

 

2017年に開催されたイセコレクション展「世界を魅了した中国陶磁」でも、心に残る作品を拝見していた。
大阪市立美術館のコレクション展(2021年)「磁州窯の陶枕」も面白かった。

 

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左 白地鉄絵牡丹文瓶 金時代 12~13世紀

右 黒釉刻花牡丹唐草文梅瓶 北宋時代 11~12世紀

 

磁州窯系の窯では庶民が使うものを生産していたという。このようなうつわを愛した当時の人々のセンスって抜群、洗練されているなぁ。

 

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白釉水注 北宋時代 11~12世紀

 

五代から北宋、金時代の中国のやきものについてのご研究を聞かせていただくとき、推理小説の読者になったような気持ちになる。

一体どんな人々の暮らしや活動があったのだろう。広大な国土であるのに、産地と産地の間に、技術やデザインのつながりがあるということに驚く。

 

講演会のお話に触発されて、二玄社の「磁州窯瓷」を取り出して、久しぶりに読み返した。さまざまな技法に感銘を受け、カラー図版を眺めてほっとため息。
また実物を見に行きたい。

相変わらずというか、私では当然ながら、一回お聞きしただけでは内容をつかむというにはほど遠い。
YouTubeアーカイブ配信があるというから申し込まなくてはいけないな。

 

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白釉劃花風花雪月字梅瓶 金時代 12世紀