中之島香雪美術館特別展「陶技始末河井寛次郎の陶芸」

中之島香雪美術館の特別展「陶技始末河井寛次郎の陶芸」を訪ねた。来場者が多い。

 

 

Ⅰ章の1節「中国陶磁への憧憬」では、中国の古陶磁研究から生まれたさまざまな窯様の作品が並び、面白かった。
鈞窯風、龍泉窯風、磁州窯風、何でもできてしまうんだ!

 

古陶磁に倣って、技術を極め、模索するといえば、以前に小森忍という方の図録(江別市セラミックアートセンター発行)を見て、驚いたことを思い出した。
中国古陶磁の研究から生まれた変幻自在の釉に包まれた作品に目を見張った。
いっとき河井寛次郎と小森忍は京都市陶磁器試験場というところで技手として、同僚だったんだなぁ。
20世紀初めの日本であっても、中国の古陶磁は倣うべきお手本であったのか。

 

会場では、いろいろな技法を駆使しながら、そのうえに人間味を感じさせるやきものが、花が咲いたように並んでいる。
潤いと温かみのある釉の色や、あっさりと描かれたような草花模様に惹きつけられる。


ポスターにある「辰砂扁壺」(昭和23年)の色彩はとても鮮やかな臙脂で、イッチンの白い花が浮き上がっている。
「呉洲筒描花手扁壺」(昭和26年)同じように色彩が美しいオブジェのような絵画のような作品だ。


Ⅲ章 「河井を支えた人々~関西の支援者・収集家たち」
川勝堅一のコレクションから出展されている「草花絵扁壺」(昭和14年)が特に心に残った。
やきものならではの落ち着きある白い器肌のうえに、赤、青、褐色で落書きしたような軽快な模様が描かれていて、堂々とした存在感を持っている。それほど大きい作品でもないのだけれど、本当に大きく感じる。

 

自分自身の気づきとしては、「二彩繍花盂」(大正10~12年)とか「青瓷鳳凰獅子牡丹唐草文鉢」(大正10~12年)のような古陶磁に倣った作品に自然と目が行ってしまい苦笑いした。