大阪市立美術館「華風到来」展

年度末業務の泥沼にはまって、おぼれるところだった。

 

大阪市立美術館で「華風到来」展を楽しむ。
お出迎えは「堆朱 牡丹文盆」明時代 15世紀

ややこってりめの華やかなデザインと、超絶技巧 中国文物のイメージにぴったりの作品だ。

 

 

古代から清時代までの中国の書画、工芸品、拓本、石造彫刻。加えて、中国文化への想いが込められた日本の作品、大阪市立美術館のあゆみを紹介する作品も豊富に展示されている。
長期休館前の蔵出し?ボリューム感あるコレクション展示だ。
写真撮影が許可されていることもありがたい。中国作品のいくつかを記録しておこう。

 

 

「草書四帖 写真は元日帖」米芾(べいふつ 宋三大家の一人)北宋時代 11世紀末頃
とにかく惹きつけられる。どうしてこんなに格好良い文字が現出するのだろう。
しかし、意味わからずと、文字に魅力を覚える自分の感性も不思議なものだ。何かを好きと感じるには、自分の中に好ましいと思う形や色や風合いの祖型があるのだろうか。

 

 

「菊花文禽図」沈周(しんしゅう 明代の文人 画家)明時代(1509) この作品は以前のコレクション展「磁州窯の陶枕」の会場に掛けられていて印象深い。自由自在の筆遣いによって、鶏や蝶、菊の花が平穏な光の中で生きている。

 

 

「江南春色図 写真は部分」呉歴款 清時代 18~19世紀 眺めていると、画面の中に入り込んで、どこか南の方にある、のどかで平和な里に暮らしている気分になる。

 

 

「仙子漁者図」 黄慎 清時代 18世紀 こちらは「揚州八怪」展でお目にかかった。 釣果を持ってほくそ笑む仙人のような老人にまた会えた。迷いない筆致と少ない色数での人物表現、絵と一体となった画賛、釣り竿と広い余白で構成された画面 名人の手によってあっという間に仕上げられたように思える。

 

 

「青花 睡起図洗」 清時代 17~18世紀 図柄が面白く、ちょっとニヤッとしてしまう。染付の濃淡がきれいで、女性もバラの花も艶っぽい。どういう経緯で作られたものだろう。

 

 

「青銅 呉王伍子胥図画像鏡」 後漢三国時代 3世紀 
とても劇的な表現 伍子胥は復讐の物語で有名な英雄だったかな。実在の人?なぜ鏡に刻まれている?この作品ひとつだけでも妄想が膨らむ。

 

 

「高慶碑」 北魏 523年頃 北魏王室外戚の名家出身 高慶の墓碑 お手本のように気持ちよく、整った漢字 そういえば「中原の古法-北朝石刻書法」展では力強い作品をたくさん見せてもらった。特に「北魏」の文化って、どんなだろうと興味を持った。

 

石像彫刻の展示室ではガラスケースの周囲から作品が鑑賞できる。
背面や側面にも浅く彫った浮彫のある作品が多いため、展示ケースの周囲をうろうろと、人にぶつからないようにと、展示室中をぐるぐる回る。

 

 

「仏像 中国・日本」展で見せてもらった石の仏様のいくつかに再会。
「石造 如来坐像」北魏(466) 若く端正なお顔で微笑んでいる。いつもお参りして、拝みたくなる。

 


道教四面像」北魏(534)こちらは道教の神様?教祖様?何となく親しみがもてるお像

 

 

このお顔も好きだ。「石造 菩薩立像頭部」北魏 6世紀前半 昔の人がつくった石像彫刻にすっと心を寄せることができる。

 

200点ものコレクションをたっぷり、じっくり拝見し、やっと心の垢がとれたようにすっきりした。感謝、感謝