湯木美術館「国焼茶碗はおもしろい」再訪問

9月に訪ねた湯木美術館の「国焼茶碗はおもしろい」展を再度訪問した。

 

「みをつくし」という銘がついた黄瀬戸の平茶碗(瀬戸という名前がついているけれど美濃で焼かれた 江戸時代16-17世紀)から鑑賞を始める。


もともと向付として作られているものを茶碗に用いたということで、底が浅く、鉢という感じ。淡い黄色い地に濃い緑の差し色が映える。

 

写真は東洋陶磁美術館の作品で黄瀬戸丁子唐草文鉢(桃山時代 美濃)

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黄瀬戸の作品については、油揚げのような潤いのある肌の感じと胆礬(たんばん 硫酸塩鉱物)の緑色が見どころとして紹介されている。古の茶人の好みが伝えられているんだねぇ。
あまり主張しすぎない美しさに心が落ち着く。

 

次に重要文化財の志野茶碗(銘 広沢 江戸時代17世紀)
白い釉の下に見え隠れする文様や火の色、気泡の痕?のぶつぶつ、少しゆがんだ、しかしどっしりとした姿。

これこそ炎の芸術!日本が誇るやきものだなぁ、称える気持ちと同時に懐かしさや親しみも覚える。

いっぽうで、けっこう独自な美しさではないかとも思う。
国外の人、湯呑などにはあまり縁のない若い人の目にはどう映るのだろう。


こちらは東洋陶磁美術館の志野草花文四方火入れ(桃山時代 美濃)

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沓茶碗にいたっては、これは前衛芸術かと驚嘆する。自由に、無造作に形を歪ませ、絵付けをし、釉をかけている。これでお茶を飲むの?すごいな。

 

花入れなどに見立てられた備前焼信楽焼の焼き締め陶器も印象深い。
単純にきれいというものではないけれど、花を生ければ、花を活かし、自然に溶け込んで地の色になる。


こちらは東洋陶磁美術館の耳付花生け(桃山時代 美濃「美濃伊賀」とも)

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一作品、一作品ごとに、現代の日本人にも理解できる独特の美意識が伝えられていることにじわじわと感動が湧いてくる。

桃山から江戸時代の日本って、芸術的にとてもユニークに発展していたのかもしれない。学ぶこと多いね。


それにしてもお茶の世界の言葉をもう少し知らないといけない。ちょこっと勉強することにしよう。