先月中之島香雪美術館で、茶道に使われるお茶碗を見て、面白いという印象が残ったので大阪のビジネス街中心部にある湯木美術館を訪ねた。
ちょうど「国焼茶碗はおもしろい」というテーマで秋季展が開かれている。
2年半ほど前に訪れたときは、こぢんまりとした美術館だと思った。
しかし、今回訪れてみて、じっくり鑑賞するにはとてもよい広さだと考え直した。
ケースが9つあって、その中に作品が三十数点出展されている。そのくらいであると、集中力を切らすことなく鑑賞することができる。
さて、日本のお茶碗は本当におもしろい。
端正な形よりもむしろ非対称形だったり、ゆがんでいたりする。
器の肌も荒れ?ていたり、雨漏りしていたり、岩石みたいだったり、一様でない。
「くたふれもの」という銘がついた室町時代に焼かれた信楽焼の花入があった。
黒っぽくくすんで見えて、なんというか、シブイ。
わびとかさびというのだろうけれど、このようなものを見出して、伝えてきた人々の感性が一番興味深いと思う。
こういった感性はこれからも、伝えられていくだろうか。
日本のやきものも少し覚えていかなくてはいけないな。
好きな作品をちょっとメモする。
古萩筆洗形茶碗 萩焼茶碗「銘 望月」(山口県 どちらも江戸時代17世紀)
サーモンピンク系の器壁がどちらも味わい深い。
志野茶碗 「銘 広沢」(岐阜県 江戸時代17世紀 重要文化財) 落ち着いていて、日本的でお茶飲みたいっていう気になる。
萩焼や志野、信楽(滋賀県)や備前(岡山県)は昔から有名で、それ風の製品が身近な生活の中に溶け込んでいる。
いっぽう高取焼(たかとりやき)って、どこのやきもの?
高取焼沓形茶碗 拍子木向付 手付鉢(福岡県 いずれも江戸時代17世紀)
飴釉と藁灰釉を掛け分けていて、その中に青緑色に発色している部分があって美しい。
唐津焼(佐賀県)、伊賀焼(三重県)、上野焼(福岡県)……いろいろあるなぁ。もそっとお茶碗について学ぶことにして、この展覧会に再度足を運ぶことにしよう。