「天目ー中国黒釉の美」記念講演会

「天目―中国黒釉の美」会期の終わりに小林仁先生の講演会を拝聴できた。よかったなぁ。
定員が限られていて、一度オンライン講座を受講したので、遠慮したほうがよいかとも思ったけれど、聞きたいという欲が勝った。


東洋陶磁美術館のいつもの講堂でお話を伺うと、小林先生が作品を手にしたときの実感がより鮮明に伝わってくる。
たくさんの写真資料もみせていただいた。
魯山花瓷の腰鼓、堆線文の茶器、北宋時代の建窯の盞、虹色に輝く禾目天目……必死になって、画像をしっかり目に焼き付きた。

 

同じ器形で青磁と黒釉の作品例があり、黒釉の歴史が青磁生産とともにあるということに触れられた。面白いことだなぁ。


中国の主要窯址地図もいただいた。有名な窯が綺羅星のごとくだね。

中国の広い地域に生産物や技術や流行が伝わり、影響しあっていたことを想像する。陝西省の呂氏家の墓から福建省の建窯の兎毫盞が発掘されるとは驚きだ。

 

直にお話を伺えるというのはやはり最高で、これに代わるものはない。

でも、コロナ禍はしばらく終わりそうにない。リアル講演会を開催するって、開催する側に随分リスクがあるし、一回30名ってもったいない。感染症対策で会場を締め切ることができないのもつらい。様々な周囲の雑音がはいってきたり、寒かったりする。

 

オンライン講座にもいろいろ利点がある。私に限って言えば、非常に集中して画面にかじりついて、受講できた。先生の側から受講生の顔は見えないけれど、生徒側は、お茶を飲み、図録なども見ながら先生独り占め気分である。チャットで質問できるところもよいかな。
「日本の覆輪はなぜ、中国の平べったい覆輪と似てないのでしょう?」みたいなちょっとお聞きするのが恥ずかしい質問もできたかもしれない。だいたい私の疑問は子供じみているので、講堂みたいなところでは質問しにくい。

 

これからはオンライン講座も発達させて、ナマ講演会と両方、接点を作っていただけたらうれしいな。多少なりとも美術館に利するような受講料であれば、生徒の方も資料ちょうだいとかって言えるし、ね。

 

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