東洋陶磁美術館がしばらく休館になる。大事な場所に行けないのはちょっとつらい。
特別な展覧会がなくても、定期的に足を運んできた。
好きなやきものを静かに眺めると気持ちが落ち着く。器の肌をじっと眺めて、そこに広がる世界に自分が埋没してゆく感覚が好きだ。
同じ作品たちを何度も何十回も見ているわけだが、そのたびに違う表情を見つけ、魅せられている。
一度さらっとうわべだけ見て、わかったつもりになって、次からはよく見ようとしないことはある。ところが、見過ごしていた作品が、違う機会に呼び掛けてくることもある。
何度見ても飽きないのは、そのジャンルの作品としてはトップレベルのものばかりだからと素人ながら思う。ときどきスター作品ばかりでなくてもよいから、小品も見たいなと思うことはあるが。
普段は日の目を見ない収蔵品が展示されることがあると、ひそかに喜んでいた。
展示空間としての居心地の良さが、何度も来館したくなる要素のひとつだ。
照明は穏やかな明るさで作品を照らしていて、見やすく快適だ。
展示室ごと、ケースごとの特徴による展示の工夫や変化が楽しい。
時折見える外の景色に目を休めたり、ロビーで一息ついたりすることもできる。
ひとつの公共施設がお休みになるからといって、喪失感を感じるとは、我ながら奇妙なことに思える。でも、言葉にできないような感動や心の栄養をもらってきた。
楽しみにしていた特別展に初めて足を踏み入れるときのどきどき感は格別だった。
好きな展覧会の開催期間中は作品に会いに行けるという高揚感を味わった。
やきものに関連すること、中国の歴史なども少しずつ学ぶことができたね。
本当に心から感謝を!
美術館はいろいろと新しいことを試み、未来のかたちを模索しておられるようだ。
世の中の変化は大きくて、私は適応するのに四苦八苦している。
リニューアルした美術館にまた足を運ぶことができるように、なんとか生き延びて暮らしてゆかなければと思う。