先日、大阪市立美術館の特別展「天平礼賛」を訪ねた。
何か珍しくてきれいなものが見られるかな、と、軽い気持ちで行ってみて驚愕した。
秘蔵の宝物の数々が展示されていた。よくぞ伝世されてきたものだ。
天平時代の歴史や正倉院展などに今まであまり関心をもっていなかったので、ただ素晴らしいという印象ばかりで書き記す言葉を持っていない。
それでも、今後の勉強のため、忘れないうちにメモでも書き留めておこう。
まず、隋から唐時代の青銅の鏡の競演。
華やかで稠密な文様造形に圧倒される。
唐三彩の花文碗(唐時代7~8世紀)は釉の発色が鮮やかで、印花模様が可憐だった。
とても秀麗なお姿の仏像も拝見した。
兵庫・金蔵寺の阿弥陀如来坐像に心落ち着くなと感じ入っていたら、その隣に、これまた見惚れるような神奈川・龍華寺の菩薩坐像が並んでいて、目が離せず、なかなか去り難かった。
感染予防には、あまり滞留してはいけないのだろうけれど。
京都観音寺の菩薩坐像は座っておられるところから今にもすっと立ち上がって歩き出しそうなほど、見事な身体表現。
八世紀に紫の紙に金字で書かれた金光明最勝王経(国分寺経)と紺色の紙に銀字で書かれた華厳経(二月堂焼経)。今の世の中にありえないような貴重で美しいものを目にすることができて幸運だ。
宝相華平文残欠(8世紀)とてもとても繊細な銀細工の飾り物 小さなかけらであるけれども、見ると切なくなるほど細やかな手わざの美が込められている。
見どころが多すぎるくらいたっぷりとあり、100点を優に超えるさまざまな文化財(古代の布裂や蘭奢待も!)を鑑賞することができた。
すごい展覧会。開催時期がこの年の、この時期であることが本当に惜しまれる。