奈良国立博物館青銅器館(坂本コレクション)を訪ねる

お天気が良い。ちょっと遠出して、青銅器を見に行こう。これも見納め。

奈良国立博物館のあたりは、いつも賑やかだ。ぼうっとして歩いていると、ヒトかシカにぶつかるか、シカの落とし物を踏んづける。近鉄奈良駅からの一本道を歩くのは勇気が要る。正倉院展が始まると、もっとざわめくのだろう。

 

 

奈良国立博物館の仏像館から青銅器館を訪ねる。
仏像には、実にいろいろなお顔があるものだ、仏像の世界にはまったら底なしだろうな、四天王像は現代的に見ても格好いい、などと勝手に思い散らしながら、金剛力士立像と走っている大国様を撮影させてもらって通過した。

 

 

青銅器館(坂本コレクション)にたどり着くと、何と撮影可の嬉しいお知らせが!

本当に撮ってもいいんだね。これで思い出をしっかり持って帰ることができる。
前回、なんて不思議できれいなものだろうと思った宇宙船のような大きな卣(ゆう)と大眉の簋(き)を、もう一度見ておきたかった。

 

お目当ての「鳳凰文卣」(商末周初期 卣は提げ手のついた酒つぼのこと)

 

なぜこんな飾りがついているのか、不思議でならない。
作られた当時は、あちこちから突き出た鰭飾りが光り輝いていたことだろう。特別な意味を持つ器だったのかもしれない。

 

大眉の簋(大眉饕餮文簋 西周前期)は記憶のとおり、保存状態がとても良く、端正な柄向きが本当に美しい。人の顔のようにも見えて、しゃべり始めそうである。簋は穀物を盛る器だそうだ。

 

 

展示室は青銅器の形によって分けられ展示されている。器の形は、時代による流行り廃れがあるもののようだ。
爵(しゃく)と卣と鼎(てい)と簋の形は何となく覚えたね。

 

 

蒜頭壺(さんとうこ) こんな形のやきものもあるなぁ。

扁壺 この作品では曲線の中に獣のような姿が配されており、独特な世界観が表現されている。

 

金文を紹介している展示ケースもあって、貴重な考古資料に触れることができた。

 

富と権威の象徴とか、色々な祭礼に使われたとか、歴史を考えるのも楽しいが、数千年の年月のおかげで欲望の生臭みが抜けて、純粋に造形の面白さ、美しさを鑑賞できるのも楽しい。重々しく厳かであるべきデザインが妙に可愛らしかったりするのも魅力だ。

 

 

青銅器は遥か昔に作られたとは思えないほどゴージャスで、当時の技術が非常に高かったのだと思われる。しかも、饕餮文に代表されるような神秘の文様の力によって、目と心が引き寄せられる。
今日はゆっくり鑑賞でき、撮影もさせてもらってよかったなぁ。
さて、帰りも気を付けて歩かなければ