中之島香雪美術館で開催された「遠州・不昧と大名家の茶」展を訪ねた。
茶碗、花入れ、掛け軸、茶入、茶杓、香合……お茶の道具はいろいろ種類があって面白い。
が、そのひとつひとつについての見どころ(見方の決まり?)もいろいろあって、これはちょっと難しそう、面倒だな、とつい引いてしまう。
耳かきのような茶杓というものの、どこがよいのかわるいのか、天下の名品を前にしても、私などにはとうていわからない。
ただこのたびは、会場にはいってすぐに出会った茶杓の筒(小堀遠州 17世紀)を見てきれいだと思った。風情というのか、ゆかしい雰囲気が漂ってくる。わずかに感性が進歩した、かな?
自由に気楽に鑑賞したらよい。
いっぽうで、知識を得ることで深く味わえることもある。
どんな心持ちで作品に向かっても、会場で直に鑑賞できることはやはり値打ちがあると切実に思う。
素晴らしい竹の花入れがいくつもあった。
そのやわらかな曲線と空洞によって、その周りを芸術的な空間にするようだ。あっさりと手を加えただけのようで、こんな絶妙な形になるのか。
茶碗、茶入、香合などやきものには、本能的に吸い寄せられる。
日本のもの、中国のもの、朝鮮のもの、とりどりに味わえる。現代の日本で、このようにとりどりに拝見できるのは茶道のおかげだねぇ。
丸壺茶入「利休丸壺」という南宋時代の茶入は、釉が紫にも茶色にも見えて、かたちもぷっくりとして美しかった。
高取焼や青みの入った蕎麦茶碗というのも素敵だった。
お茶碗以外になじみがなかったお茶道具も、拝見する機会が増えると、だんだん好きになってくる。
大阪に暮らしている今のうちに、ぼちぼちとお茶の道具についても、覚えていこう。