年度末の業務と花粉症からあともう少しで抜け出せそうだ。
花粉症の薬の副作用なのか、とにかくこの季節は気鬱になる。もともとの怠け性が花粉症のせいでさらにひどくなる。仕事に出かけるだけの毎日。桜の季節は恐ろしい。
だが、新しい展覧会が始まった。文房四宝がテーマなんてちょっと珍しい。美術館の運営主体が変わり、「友の会」も解散となり、これからの東洋陶磁美術館はどうなるのかな。
筆や墨を手にしたのはもう遠い昔、ゆかしき事とは縁遠い日常だから、美術館の空間でゆっくりとした時間を味わいたい。
心落ち着く展示だ。墨や硯を愛で、さらさらと流麗な文字をしたためる、なんて憧れる。
近頃は手書きすることさえ少なくなって、たまに手紙など書こうとすると字を忘れてしまっていてすぐに躓き、先へ進めない。
慈姑(くわい)墨(明時代末期)
鵞硯(がけん)明時代
このたびは、明・清時代を中心とした文房具が中心ということだが、そのなかで古代からの旅人ともいうべき展示品に心が躍った。
玉を佩びるとはこういうものを身に着けることなのか。物語の中でしか知らない「玉」を初めて見て、昔の人の心を垣間見る思い。
龍冠鳳凰佩玉(りゅうかんほうおうはいぎょく) 商時代後期
穿孔玉斧(せんこうぎょくふ) 新石器時代
上2点はペーパーウエイトに使われたのではという解説があった。私もこんな文鎮が欲しいな。
そして大きな璧と小さな印。どちらも美しく削り磨かれている。
玉璧 新石器時代
玉印 漢時代
よくぞ伝えられてきたものだ。
なんともいえない古代の魅力、魔力に惹きつけられる。
もちろんメインの展示品も堪能し、最後に常設の中国陶磁に囲まれてほっと一息。
私の勝手な願いとしては常設展示の中国陶磁(もっと小品も鑑賞したい!)があと一部屋あったらどんなにありがたいだろうと思っている。
でも当然ながら採算がとれる展覧会を開催することが一番優先されるのだろうなぁ。
ぶつぶつと思いながら、すばらしい写真が掲載されている「MOCO~大阪市立東洋陶磁美術館コレクション選」を求め、退館。しばらくこの図録にひたって楽しむことができるだろう。