東洋陶磁美術館 企画展「福井夫妻コレクション 古九谷」つづき

東洋陶磁美術館で開かれている企画展「福井夫妻コレクション 古九谷」
有名な青手(あおで)のほかにも、さまざまな表情の器が見られたので、詳しく記録していきたい。

 

まず、比較的小さめ(直径16センチ未満ぐらい)のお皿が並んでいる。
そのうちの2枚が茶色の地で、しかも現代的な柄行に驚いた。

1枚はスタイリッシュ、とでもいうべきおしゃれなデザイン。茶色の地に細長いリボンのような曲線、青の縁取り (銹釉 曲線文 皿)

 

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もう1枚はやさしいメルヘン風の鶴が表現されている。図録によると、鶴の身体は素地の白さを生かして白抜きなんだそうだ。(銹釉 双鶴文 輪花皿)

 

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2枚とも何の説明もなかったら、17世紀に作られたものって思うかな。


この2枚の間に、白い地にふわっと広がった触覚が印象的な、エビのお皿が挟まれている。とても自由な絵柄だなぁ。(色絵 海老文 皿)

 

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続いて、澄んだ鮮やかな色彩が美しい人物像のお皿。物語の一場面のようだ。こういう絵柄は中国のものみたいな感じがする。(色絵 樹下人物文 皿)

 

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お隣は、柳にミミズクという取り合わせのお皿。(色絵 木菟文 輪花皿)ミミズクって、青銅器の形でみせてもらったことがあるけれど、珍しい。太い木の枝の表現が生き生きとしている。お皿の中からミミズクさんに見つめられているようだ。

 

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柄と色彩で器面が埋め尽くされているという古九谷に対する私の浅はかな思い込みは、すっかりくつがえされた。

白い素地の余白を大きくとった作品や、銹釉という茶色の地色の器、美しい色彩とシャープな線描の絵付けの文様。
5枚のお皿を拝見しただけでも、多彩な表現が窺い知れる。見ていくのがとても楽しい。

次の作品はどんなかな。まぁ、でも今日はここまで。