今年は別れの春だった。
自分自身の最期のことも随分考えさせられた。
心身ともにすっかり固まってしまった私だったが、東洋陶磁美術館の胡人俑たちには、その後も2度ほど会いに行った。
何度通ってみても、そのたびそのたびに違う魅力をみせてくれる胡人俑たち。
眺めているうちに、一滴一滴と何かが心を満たしてくれた。
あの者たちも中国に帰ってしまい、もう会えないだろう。
花粉の攻撃に悩まされながら、年度末初めのやっつけ仕事を何とか切り抜けた。
石の下からもぞもぞと虫が這いだすように出かけてみる。
いろいろなやきものに触れてみたい。
難波の府立体育会館のすぐそばにある日本工芸館を初めて訪れた。
本館1階→2階→3階→屋上→別館と順路になっているところがちょっと面白く、昔の日本建築の匂いがする懐かしさを覚える建物だ。
60年近く前はモダンな建物だったろうが、今はまったくビルの谷間にあって、控えめにたっている。
ほとんど予備知識なく出かけたのだが、鹿児島・苗代川焼の甘酒半胴(はんず)というどっしりとしたやきものに出会えた。
力強く、重厚感たっぷりだ。この甕に入れられたら、お酒もよっぽどおいしく見えただろう。
2階では、主に北・東日本の益子焼などのやきものが展示されていた。
平清水焼
屋上やベランダみたいなところには大甕や壺が展示されていた。
最後に売店でもあれこれと眺めて楽しんで、春らしい色の小鉢をひとつ求めた。
大阪福島のものだという。へぇ、大阪市内にも窯元があるのだねぇ。
帰りがけに今年度の展示案内もいただいた。12月の古薩摩の陶磁器展はぜひ伺いたい。
出かけてみたいところがひとつ増えた。これは出会いかな。