連続講座を受講する

20日(土)は東洋陶磁美術館の特別展連続講座を受講した。

「高麗青磁展への誘い」~講師は鄭銀珍先生(東洋陶磁美術館学芸員

 

今開かれている高麗青磁展を開催するまでに韓国、日本で開かれた展覧会について、九龍の浄瓶にまつわるエピソードについて、あるいはポスターのデザインが決まるまでなど、展覧会への案内を本筋に、鄭先生の展覧会にかける思いが感じられるお話をたっぷり聞けた。

 

ポスターに掲載されている九龍の浄瓶には、龍の陰刻があり、9弁の花びらの形をした承盤がついていたが、傷んでいたために引き取られなかったのだそうだ。

瓶の下部分が褐色に変色しているのは、承盤に水が溜まっていたからとのこと。

 

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青磁陽刻龍波濤文九龍浄瓶 重要文化財 高麗時代 12世紀

 

もはや承盤は失われてしまった。残念なことだが、よくもあの精巧な龍の姿が残されていたものだ。

しかも日本の奈良の大和文華館に伝えられているとは。

 

今回の展覧会にあえて、近代の再現品を展示する序の部屋を設けたのは、19世紀末に墳墓などから姿を現した高麗青磁の美しさを再発見し、なんとか再現しようとした人々の努力が正しく評価されず無駄になってしまうという思いからだったという。

 

この再現品の展示の縁で、奇しくも、もう一体の王仁像が寄贈され、私たちも拝見できるようになった。展覧会というのは美しいものを見て癒されたりするだけでなく、そこから新たにはじまるものもあるようだ。

 

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特別出品 青磁王仁

 

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小さいところにも命が宿るー水注の注ぎ口にある模様など、高麗青磁の繊細な装飾も注目とのこと。

和文華館の金属工芸品もそうであったけれど、見逃してしまいそうなところに精緻な模様が刻まれている作品が多いなぁ。

 

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青磁瓢形水注 高麗時代 12世紀

近代の再現品ともともとの作品にみられる違いについてのお話も興味深かった。

 

再現品というのはもとの作品にせまるように似せてつくられているけれども、模様と模様のつながり方が違ったり、模様のつく位置が違ったりすることがあるそうだ。

 

そのようなお話を伺ったあとでまた作品を見に行くと、心なしか再現品のほうは似せようと力が入りすぎているのかしらと思わなくでもない。

教えてもらわなければほとんどわからないのだけれど。

 

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(左)青磁象嵌菊蓮花文瓜形水注 高麗時代 12世紀後半ー13世紀前半(右)青磁象嵌菊牡丹文瓜形水注 李王家美術品製作所 1915-20年代頃 蓮弁文が胴裾ではなく少し上部に施されている

 

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(左)青磁象嵌雲鶴文小壺 高麗時代 14世紀(右)青磁象嵌雲鶴文小壺 1945年以前

 

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(左)雲の中を鶴が飛翔する (右)鶴の周りを雲文が囲んでいる感じ

うーん、なるほど 面白いなぁ

 

 連続講座は11月3日(土)と10日(土)のあと2回。10日は仕事だ。残念!