後回しにしていた東洋陶磁美術館高麗青磁展の第1会場
実は最初に足を踏み入れた時に、ちょっと戸惑った。
てっきりポスターを飾る九龍の浄瓶とか、きらきらの輪花形碗などが第1会場に展示されているのかなと思い込んでいたからだ。
第1会場では「序 近代における高麗青磁の『再発見』と再現」として、
高麗王朝の滅亡とともに世の中から消えてなくなった高麗青磁が19世紀の終わりに、墳墓などから発見され、出回り始めてからの高麗青磁への熱狂、その再現を目指した人々が傾けた思いと労力を垣間見ることができる。
そして、このたび展覧会を開催した方々の熱意も伝わってくる。
今回高麗青磁の再現品であることが新たにわかった作品(右)
(左)青磁 象嵌菊蓮花文瓜形水注 高麗時代12世紀後半ー13世紀前半(右)青磁象嵌菊牡丹文瓜形水注 1915-20年代頃 李王家美術品製作所
だがしかし、理解力鈍く、目が悪い私には丁寧な行間のつまった解説を読んでいくのにもたもたし、お客さんが混んでくるとちょっとつらい。
先に次の会場に進み、空いているところを見計らって第1会場に戻る。
ここでは単に美しいものを鑑賞するというより、少し考えさせらる。
本物そっくりに細部までまねした作品。
技法を研究し、倣ってつくりながら新しい感覚も見られる作品。
(左)青磁象嵌辰砂彩蓮池水禽文鉢 1916-30年代頃 三和高麗焼(右)青磁蓮弁飾香炉 1945年以前
(左)青磁印花饕餮文鼎形香炉 1916-1930年代以前(中)青磁象嵌牡丹文獣面飾壺 1916-1930年代以前(右)青磁陽刻花文輪花形盞・托 1945年以前
(左)青磁陽刻蓮牡丹文四耳壺 1939年以前(右)青磁陽刻黄蜀葵蓮花文四耳壺 高麗時代12世紀
美しいものを再現するってことに、どうして人はこんなに情熱を燃やすのだろう。
どっちが本物なのか私にはさっぱりだが、後で図録の解説を読んで、そういうものかしらんと、ちょこっとわかった気になる。
ほかの第2~第4会場には説明抜きで美しいものをわんさかと展示しておいて、このような会場を序にすえるというところが、東洋陶磁美術館らしい感じがする。
私もついていけるようになりたいものだ。
(左)青磁人物形水滴 青磁鴛鴦形水滴 1916-1930年代以前(右)青磁陽刻蓮弁文鉢 1916-1930年代以前
さて、展覧会のあらましを記録したのでひとまず安心。
11月25日に閉幕するまで、図録の論文などを読みながらさらにゆっくり楽しむことにしよう。