大和文華館を訪ねて

久しぶりに、近鉄奈良線の電車に乗った。

3館(東洋陶磁美術館・大和文華館・寧楽美術館)が特別連携している展覧会のひとつ、大和文華館の「高麗ー金属工芸の輝きと信仰」を見に行く。

 

庭園の中にある美術館だ。

受付がある門のところから、お庭の中を少し進まないと、建物が見えてこない。

 

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展覧会を見たのちに、お庭を散策して楽しむとよいのだが、何しろ10月というのに日差しが厳しい。

今日は中だけにしておきましょう。

 

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展示場はゆったりとしていて、腰を掛けて図録のサンプルなどを眺めることができるスペースもある。

中庭に竹が何本か植わって空に向かっているのが面白い。

 

さて、展示場では、おだやかなお顔の石仏につづいて、細い金の線模様で埋め尽くされた華厳経、小さな仏像がおさめられた仏龕、舎利容器、密教法具、浄瓶など祈りの場を飾るために、技が尽くされた品々が並んでいた。

 

陶磁器と違って、やはり金属のものは腐食、変色が激しいな。

つくられた当初、これらのものはどれほど煌びやかであったのだろう。

 

装身具や、鏡なども展示されている。

全般に精緻で細密な彫りや象嵌などによって、余白が埋め尽くされるような装飾が多いように感じる。

高麗青磁象嵌技法などと同様に、独特な美しさだなぁ。

 

仏に捧げようとして、心をくだいて仏具をつくった当時の人々の思いが今でも伝わるようだ。

 

精細な仏龕などに目を凝らしていて、ふと視線を移すと掛け軸の観音様が目に入り、気持ちがふわっと柔らかくなる。

水月観音図」(高麗時代 13世紀)補陀落山に安坐する観音菩薩のもとに善財童子が訪れる様子とのことだ。

何と優しいお姿だろう。信仰心をもって仰ぎ見れば救われる気持ちになるだろう。

 

もうひとつ 園城寺蔵の梵鐘(高麗時代 1032銘 重要文化財)を鑑賞して驚いた。

梵鐘とはこんなに美しいもの⁉

何が美しいって、うまく説明できないが、彫刻みたいな鋳造の仕上がりがきれいで、存在の迫力と品格を感じる。

しかも美しいままで今に伝えられていることが素晴らしい。

 

素晴らしいもの、美しいものが世の中にはいっぱいあるねぇ。

次は寧楽美術館。ぜひお庭を見たいからもう少し涼しくなってから伺いましょうっと。

 

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