大阪市立美術館コレクション展「宮人たちへの鎮魂歌-隋の石刻」

大阪市立美術館のコレクション展を再び訪ねた。前回は途中で力尽きてしまった。
金属工芸「ニッポンのかがやき」、「花咲くやきもの」の作品との再会を楽しみながら「宮人たちへの鎮魂歌-隋の石刻」にたどり着いた。

 

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主に隋の煬帝の宮廷につかえた女性たちの墓誌の拓本が展示されている。
墓誌の内容としては葬られた女性たちの仕事の内容、家柄、年齢、長年勤めあげた人、若くして亡くなった人、のことなどが紹介されている。
約1,400年前、悪名高き中国の暴君のもとで生きた女性たちについて、片鱗を知る。

 

墓誌は繊細な楷書で、記されていた。抑えた調子で、一字一字丁寧に書かれている感じ。
ほっそりとして、整った姿の字体が宮中の麗人の面影を表しているようだ。

楷書は唐時代に最高のかたちで完成したというから、その一歩手前?
昔の中国って、激烈に争って、支配者が変わっているのに、文化的なものはあんまり断絶しない印象がある。なぜだろう。

 

さて、しかし、拓本の展示というのは、かなり地味に見える。しかも難しそうで、とっつきにくさがあると思う。
私にとっては、実際難しい。学芸員の方が添えてくれるキャプションが頼りだ。さらに鑑賞する機会を積むべし。

 

大阪市立美術館のコレクション展を訪ねるたびに、ずいぶんいろいろな文化財を所有しているのだなと感嘆する。
いっぽうで、現代の日常生活のなか、東洋の芸術に親しみ、大事にする機会が多いとは思えない。
だんだん人々が関心を持たなくなって、文化財が人知れず絶滅してしまったら困るなぁ。

 

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