9日の土曜日に大阪市立美術館で、「仏像 中国・日本」展の講演会が開かれ、聴講してきた。(講師:齋藤龍一大阪市立美術館主任学芸員)
講演会室はとても時代がかった天井の高いお部屋だ。冷暖房費がかかりそう…余計なことを思いながら、講演が始まるのを待った。
はじめに、仏像の研究史についてのお話があった。中国の仏像というのはよく研究されているのだろうと何となく思い込んでいたが、そうではないらしく意外に思った。
続いて、展覧会のテーマ・流れに沿って、実際に展覧会場を回っているような画像を見ながら、先生の解説をお聞きする。
この展覧会では、会場内でのテーマの説明がわかりやすく、すっと吸収しやすいのでありがたい。
ぼんやりの私はどんな展覧会でも、初見ではなかなかテーマがわからないことが多く、後からこういうことか、とか、見逃した作品とかがたくさん出てくる。再度足を運べない展覧会のときは悔しい。
さらにお話を伺って、日本と中国のつながりの歴史に興味が増す。仏教、仏像、お茶、やきもの…古代から中国の文化は限りない憧れの対象だったのだろうなぁ。
もう一つ特筆すべきこととして、仏像を背面や側面から見ることができる展示にしていただいているので、面白さがたくさんあって仏像のことを知らなくても楽しめる。
先生のお話によると、隋時代の観音菩薩立像(重要文化財 堺市博物館蔵)を側面から見ると、少しお腹を出した姿になっているそうだ。
会場で実物を確認することができた。図録でも各作品の正面、側面、背面の写真が載っていて、その様子がよくわかる。
このような立ち姿といえば、2年前に見た唐代胡人俑展での女性像を思い出した。
朱色の胡服に身を包んで少しお腹を突き出すようにしてゆったりと立つあでやかな姿。
忘れられない。
私は何しろプレ仏像時代の銀製男子立像が拝見したくて来たので、仏像の好きな本筋のお客ではありません。すみません。
でも、とても見ごたえがあって講演会もわかりやすくてよかった。
最後にもう一度、男子立像と北魏の菩薩交脚像龕をじっくり鑑賞して会場を失礼した。