9月1日から開催される東洋陶磁美術館の特別展「高麗青磁ーヒスイのきらめき」を前にして、現在展示中の館蔵品をゆっくり見ておこうと足を運んだ。
いつも何気なく展示してあるようだけれど、いずれも宝物のようなものばかり。
当たり前のように並びすぎていて、ありがたみが薄れるのではと心配になる。
何といっても、少し灰色がかった青緑色の釉の色が素晴らしいが、器のかたちや、象嵌、繊細な彫刻などの装飾技法にも惹きつけられる。
薄く華やかで現代的にもみえるペアの鉢。美しく貫入が入っている。
青磁 輪花鉢 高麗時代 12世紀前半
こちらの作品も大きく貫入が入り、見事な色で釉がたまっている。
青磁 陰刻 牡丹文 盤 高麗時代 12世紀
このシンプルな瓶も素晴らしいなぁ。
とろんとしたまろやかな肌の感じ。
もし、触れてみたら硬いに決まっているのだけれど、とろりと流れてくるように思える。
青磁 瓶 高麗時代 12世紀前半
そういえば、北宋汝窯の水仙盆を鑑賞したときに、その肌が、茶碗蒸しかプリンみたいに見えて、本当に硬いのかしらと思ったものだ。
人類史上最高のやきものに対して茶碗蒸しとは、私の感性はどうしようもない。
とにかく、その不思議さにただただ魅せられたのだった。
さて、これは小さく愛らしい水滴だ。このような文房具を手元において楽しむというのは昔の人々の良い趣味だ。
名品が何点も続いている。
今日はそれらを集中的にひとつひとつ近くからじっくり鑑賞できてよかった。
来月にはどんなゲスト作品が来るのだろう。
館蔵品をどんなふうにみせてくれるのだろう。
期間中には高麗青磁について、いろいろ学べるだろう。
そして同じ作品をきっとあらためて見直すことにもなるだろう。
楽しみだねぇ。残暑を忘れ、早くやきものの世界に飛び込みたいものだ。