美術館に行くときはうきうきする。作品とデートだからね。
このたびの唐代胡人俑展では、俑たちに勝手なあだ名をつけて、ひそかな会話を楽しんでいる。
また来たよ。
さて、今日は東洋陶磁美術館で唐代胡人俑展と同時に開かれている特集展「中国陶俑の魅力」について記録しておきたい。
まず、とても小さくて愛らしい3人の侍女の俑。
髪型がいかにも中国の少女らしい。日常生活のいろいろな仕事をしてくれる俑たち。
きれいな釉がかけられた俑もある。こわい顔つきなんだけれど、でもどこかユーモラスな胡人俑とお墓を守る鎮墓獣(ちんぼじゅう)
見事な大型の駱駝や天王俑(てんのうよう)も展示されている。
天王俑とは鎮墓獣と同じようにお墓を守るためにおさめられた武人の像とのこと。
加彩天王俑 唐時代 8世紀 とてもかっこいい神将像だ。
そういえば、「唐代胡人俑」の図録では、今回実物の展示はなかったが穆泰墓から発掘された一対の鎮墓獣と一対の天王俑の写真も載っている。これがまたテレビアニメのキャラクターみたいというか、非常に斬新でかわいらしい。古代のデザインってすごい。
続いて、高貴な雰囲気の2点。貼金の残りなどが見てとれて、きっと華やかに彩られていたのだろう。
片目をつぶった鷹匠
俑にはその時代に流行ったモノ・コト、ファッションが垣間見えて面白い。
左 緑釉加彩楽女俑 隋時代 6~7世紀
右 黄釉加彩侍女俑 唐時代 7世紀
左 黄釉加彩騎馬女俑 唐時代 7世紀
右 加彩侍女俑 唐時代 8世紀
くるくるの巻毛とこの顔の表情、どこの国の人だろう? 何をしているのかなぁ
あまりにも胡人俑から受けた衝撃が大きすぎて、この特集展を素通りするところだった。
穆泰の俑たちに心を奪われてしまって、それ以外のものが、おとなしくてつまらないもののように見えてしまったのだ。
けれど、あらためてひとつひとつの俑を眺めていると、タイムカプセルが開かれたように、当時の人々の生活や、風習が偲ばれる。
広大な中国の長い長い歴史のなかで、お墓という特別な場所に存在した「俑」というものの世界をほんの少しだけのぞかせてもらったようだ。
貴重なものに出会えたことに感謝