今日はイセコレクション展の中から、名品花盛りの宋時代から元時代。
作品と窯の名前、特徴とされる技法などを結び付けて覚えよう。
この夏の館蔵品鑑賞のおさらいもできる。
最初は唐時代の終わりごろ「秘色」青磁とたたえられた最高級青磁を産み出した越窯の水注 北宋時代 10世紀
続いて、現在でもよく知られている景徳鎮窯の青白磁 北宋時代11~12世紀
◎青白磁:白磁の胎土に鉄分をわずかに含んだ透明釉をかけたもので、青みを帯びた色調から「影青(インチン)」とも呼ばれる。
そして定窯 金時代 12~13世紀の作品3点
河北省の定窯では、晩唐時代から白磁がつくられ、宋から金時代にさかんに生産が行われた。
酸化焼成によるやや黄味を帯びた柔らかな象牙色の釉色は「牙白色」とも呼ばれる。
おなじみの館蔵品ではこちら。 北宋時代11世紀 刻花牡丹文瓶
◎印花:素地に文様の型をおす装飾
◎銹花(しゅうか):鉄泥による絵付け
◎刻花:片切り彫りともいう。工具の刃をねかせて文様の輪郭を描く方法
次は磁州窯
のびのびとした模様がとてもモダンな瓶 白地鉄絵牡丹文瓶
磁州窯を代表する装飾技法といわれる白地黒掻き落しの作品
黒釉刻花牡丹唐草文瓶
黒釉刻花:白化粧地の上に鉄絵具をかけ、模様の周囲の絵具をへらで掻き落とし、その上から透明釉をかけて焼成する技法
手の込んだ技法でつくられた館蔵品の磁州窯作品を2点
そしてさらに青磁の名窯 耀州窯・南宋官窯・龍泉窯と続いて見ていこう。
耀州窯
片切り彫りで深く刻まれた模様に、オリーブグリーンの釉が厚くたまって美しい。
館蔵品では重要文化財のこちらの作品 青磁刻花牡丹唐草文瓶 北宋時代11~12世紀
南宋官窯
南宋の都臨安に修内司(しゅうないし)官窯と郊壇下(こうだんか)官窯の2つの官窯が設置された。
その特徴は黒く緻密な胎土を薄く成形し、釉を何層にも厚くかけていること。
青磁 輪花盤 12~13世紀 失透性の粉青色とも呼ばれる美しい釉色が発色している。
全体に網目状の貫入がはいっている。
◎貫入:素地と釉の膨張率の差などによって、陶磁器の釉にこまかいひび割れがはいっている状態
本当にたっぷりと釉がかけられて、とても品のある作品だ。
龍泉窯
龍泉窯の青磁は鎌倉時代以降、貿易によって日本に大量に輸入された。そのなかで南宋時代から元時代の粉青色の美しい青磁は、「砧(きぬた)青磁」と呼ばれ、珍重された。
日本ではその写しも各地でつくられたため、龍泉窯青磁は日本人には最もなじみの深い中国陶磁の一つとなっている。
なるほど、確かに青磁といえばこんな青緑色を思い起こす。
瓶は南宋・元時代 13・14世紀 盤は元時代 13・14世紀
今日の最後は重要文化財と国宝を見て終了。
とろんとした釉色がたまらない。
◎飛青磁(とびせいじ)鉄分で斑点のような装飾が施された青磁に対する日本独自の呼称
館蔵品ではこの2つの名品。
国宝 飛青磁花生 元時代 14世紀(現在国宝展に貸出中)
なんで、宋・元時代にこんな素晴らしいものがいっぱいできたのだろう。
目の幸せいっぱい。明・清時代はこの次だねぇ