イセコレクション展 黄褐色の瓶について

イセコレクション~世界を魅了した中国陶磁 国際巡回企画展を再訪

 

今回はカメラを携えて、撮影しながらゆっくり作品を鑑賞した。

展示作品86点を1点ずつ見開きで解説している図録もいただいた。(86点のほかに会場には青銅器や堆朱の箪笥などが展示されている)

 

東洋陶磁美術館の館蔵品とイセコレクションの作品を鑑賞し(何と贅沢な!)、図録を読み、自分の撮った写真で作品に出合った印象を思い出しながら、これから中国陶磁のことを自分で少しずつでも勉強しようと意気込んでいる。

 

が、その前に、前回見て、忘れられずにいた作品について記録しておこう。

青磁 長頸瓶 南宋官窯 12~13世紀


(本当はもっともっと美しい色です。ご覧になりたい方はぜひ美術館に足をおはこびください。)

 

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最初この作品を見たとき、青磁と言いながら黄褐色で、しかも何とも形容のできない肌の感じに目を離すことができなかった。

やきもののうわぐすりというのは、いくらたっぷりかけてあってもそんなに厚みはないはずなのに、どんどんその釉の世界に引き込まれてしまうような不思議さがある。

 

今日、あらためてその作品解説を読み、なるほどと唸った。

まず、作品の色については本来は「粉青色」、並んで展示してある輪花盤のような色を

望んで焼かれたのではないかということ。

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青磁は還元焔焼成(と、とりあえず覚えておこう)で発色するが、この作品ではそれが酸化焔焼成になってしまい、黄褐色になっている。

 

しかし、日本ではこのような淡い黄褐色を稲の籾に例えて早くから「米色(べいしょく)青磁」と呼んで珍重しているのだそうだ。

 

そして、あの不思議に見える釉薬については「ガラスの透明感が強く、大きめの貫入と小さな貫入が立体的に入ったいわゆる『二重貫入』となっている」とある。

そうなのだ。小さな泡が湧き出すといったらよいのか、じっと眺めていると取り込まれてしまいそうだ。

まったくうわぐすりの魔法にかかったようだ。

納得しながらも、またも作品の前を去りがたく、何度か戻って眺めていた。

 

あぁ、楽しかったな。この展覧会が終わる前にもう一度会いたい。

今日はここまで。