中国の長い長いやきものの歴史を、現在東洋陶磁美術館で開催されている「イセコレクション」展の展示作品と館蔵品、そして、図録を読みながらサラッと学習しようと無謀なことを試みる。
まず、2つの壺
灰釉 刻花鎬文(しのぎもん)遊環壺 と 灰釉 印文壺 越窯
これを見たとき、紀元前3世紀~5世紀(戦国時代)と1~2世紀(後漢時代)というものでありながら、すでに洗練され、完成された美しさを感じて、展示のはじめから驚いた。
以下、主に次の3冊の書籍から、教えていただこう。
「イセコレクション~世界を魅了した中国陶磁」
「大阪市立東洋陶磁美術館コレクション~東洋陶磁の美」
「中国・韓国 日本のやきもの 大阪市立東洋陶磁美術館館蔵品名品選」
★商周時代から春秋戦国時代にかけて青磁の前身といえる「原始青磁」が浙江省北部を中心に発展した-----「商(殷)」って、紀元前17世紀ごろの王朝がでてきた。後漢ぐらいで驚いてはいけないのだ。
★後漢時代になると、ついに成熟した青磁が越国の地で誕生した。
ここで基本の言葉をおさえよう。
◎灰釉(かいゆう):木炭や石灰などを媒熔剤(釉をとけやすくする成分)とし、約1,250度以上でとける高火度釉
◎青磁釉:灰釉に酸化鉄を呈色剤(釉に特有の色を出す成分)として加え、還元焔焼成すると青緑色が発色される
つまり、浙江省北部地域で、1,000年以上かけて、高い温度で焼く灰釉の技術が磨かれてゆき、美しい青磁が産み出されたということかな。
もうすでにため息がでるけど、ここからさらに長い青磁発展の旅があるんだねぇ。
さて、次は副葬品の陶器
地中にあって銀化(化学変化)した 緑釉 獣環壺 後漢時代2~3世紀
とても銀化の部分が広がっているが、それはそれできれいだ。
★青銅器の「鐘(しょう)」を模ったもの。副葬用の明器(死者とともに墓におさめた器物)
★副葬品としての低火度鉛釉の陶器は後漢時代に流行した
◎鉛釉:酸化鉛を媒溶剤とした、約800度でとける低火度釉
◎緑釉:鉛釉に酸化銅を呈色剤として加え、酸化焔焼成し、緑色が発色する。
続いて同じく副葬品として人物を模った2作品
加彩 官人 俑 北魏6世紀 加彩 女俑 唐時代8世紀
◎俑(よう):副葬用の陶器人形
やさしい仏像のような官人像と、手に何を持っていたのかなと惹きつけられる女性像だ。
昔の人は、死後も生前と同じような生活をしたいと考えて、いろいろなものをお墓に埋葬したのだ。
唐時代の俑といえば、やっぱり館蔵品のこの女性をはずせない。
気品ある立ち姿でいつも来館者を迎えてくれるシンボル的な存在だ。
唐時代では三彩がとても有名だ。
三彩長頸瓶 三彩貼花宝相華文有蓋三足壺 三彩蓮花文三足盤
すべて唐時代 7~8世紀
エキゾチックで華やかな作品。盤の青色は非常に鮮やかであった。
★唐三彩は、7世紀から8世紀にかけて、河南省の鞏義窯を中心とした華北各地でつくられた。
◎三彩:緑釉、褐釉などを素地にかけわけて、800度前後の低火度で酸化焔焼成したもの。
◎褐釉:鉛釉に酸化鉄を呈色剤として加え、酸化焔焼成すると褐色に発色する。
◎藍釉:鉛釉に酸化コバルトを呈色剤に加え、酸化焔焼成すると藍色に発色する。
館蔵品のこちらも 加えよう。
三彩貼花宝相華文水注 唐時代7~8世紀 三彩獅子 唐時代8世紀
◎貼花(ちょうか):素地に別づくりした装飾を貼る技法
国際色豊かな唐の繁栄を偲ばせる作品だ。
これで1,000年くらいかな。つづきはまた今度